そして翌2008年に手書きタイプの英文構造図を考案し、ネットで発表した。しかし見た目にもこだわりたい私はパソコン利用が可能にならないと気がすまなかったため HTML の活用に着手、2011年に現在のタイプのものが(ほぼ)完成した。ボツ版から数えると、いわば3代目ということになる。
そこに到達するまでにはいろいろな文化遺産を参照してきたが、特に役立ったのは何かというと、実は英語学の図式ではなくアルゴリズムの図形的表現(NS チャートや PAD など)だった。また、元データの記法については、プログラミング言語や Wiki、そして TeX なども参照した。
ただ、そうやってできあがったものにどの程度の独自性があるのかという疑問は常にあった。そこで私はネットでの検索はもちろんのこと、大書店に長時間居座って思いつく限りの関係書籍(英語やコンピュータだけではない)を参照し、形式や発想を比較してみた。
その結果、現在の私に言えるのは以下のこと。
@入れ子のボックスで表示しているのは比較的少数派。
A各要素を縦横を使い分けて配置しているのは独自。
B実際の表示をグラフィックではなく HTML の table タグで実現しているのも独自。
C原文の語順を維持しているのは他にもある。
もちろん新しいというだけでは意味がない。昨年は春と夏に学会に持ち込み、ある程度の評価を得た。現在は『英文構造図』第3版改訂作業を通じて厳密性を高めるとともに、活用方法についての考えを深めているところ。今回の改訂は大規模なものであり、今週末の発売を予定している。乞うご期待。