◇構造図の使用法
全体としては、次のような要領で行うとよいであろう。
・体系に従って、易から難へ(構造、長さ、語句レベル)と段階的に進める。
・たくさん書く。
※書くときには無理して覚えようとする必要はない。作業自体にも大きな意味があるので、正確な理解をヨリ重視する。
・理解と記憶においては、まず正確さを心掛け、次にスピードアップしていく。
※これは学習全体だけでなく、個々の素材についても言えることである。
・内容を深めるために必要な事項があれば、どんどん追記して、構造図そのものを充実させていく。
構造図を作成する前に、次の手順を経ることが望ましい。
@文法などの解説がある場合、それを熟読し、テーマを確認する。
※具体的な問題意識を明確に持つことが大事。
A和文を見て口頭で英訳してみる(間違えた部分などは徹底的にフォロー)。
B英文の音声があれば、聴きとれるかどうか試してみる。
作成した構造図は以下の要領で利用する。
@英文の音声がある場合は十分に活用する。
・プロソディを確認する。
・マスターするまで繰り返し聴く。
※図式を見ながら、図式を思い浮かべながら、シャドーイングしながら。
A英語(語句および文)を音読する。
※最初はプロソディに専念、慣れたら構造と意味をイメージしながら行う。
※ナチュラルスピードに達するまで徐々にスピードアップする。
※記憶が鮮明なうちにリテンションする。
B翌日以降も適宜反復し、十分慣れてきたら
・十指法に挑戦する。
・各種の文法ドリルを試みる。
※必要な素材をあらかじめ構造図内に含めておけば、一つの構造図から複数の文を再生することができる。この場合、文を再生することがドリルとしての性格を併せ持つことになる。なお、文法ドリルの中には処理順序が定められているものも少なくないが、それはあくまでもモレやダブリを防ぐためであり、違う順序で処理すること自体には何の問題もない。もちろん、構造図から直接には再生できないような文をアドリブ的に自作していく訓練も有効である。
※ここまでできたら「習得した」と評価してよい。
右端の和訳欄は次のように使用する。
・和訳を見て元の語句や使い方を再現する(スラスラできるまでやる)。
ノルマについては、次のようにするとよいであろう。
・最初は1日に5〜10本をじっくり丁寧に学ぶ。ドリルも十分に行うべき。
・慣れたら1日100本程度に増やす。
・最終的には1日500本ぐらいを目標とする(これはソラで処理できることが前提となろう)。
◇どんな素材がよいか
例文さえ載っていれば、どんな教材にでも簡単に適用できる。ただし、英文の音声があった方が、多角的な活用が可能である。
英文の構造が十分に習得できていない段階であれば、文法的な順序で例文が掲載されているものを使うのがよいであろう。例えば、易しめの文法書(例文集が付属しているものもある)や市橋モノなどである。通常の入門書、あるいは中学校の教科書などを最初から順にやるのもよい。この段階では、例文の数は少な目(多くて数百本)にし、その代わり、ドリルも活用しながら徹底的に身に付けるべきである。知識レベルにとどめることなく、能力化しなくてはならない。
文の構造について体系的・網羅的に学べる教材としては『英語文型完全トレーニング』(阿部友直、テイエス企画)などがある。ヨリ学術的に学びたい向きには『実用生成英文法』(平野清、開文社出版)などがよいであろう。
文構造の基本が十分に吸収できた後は、文法的な順序に従って学ぶ必要はないし、むしろ、従わない方が柔軟な能力につながるはずである。この段階では多様な語句や表現が載った教材を中心に学び、それに慣れてきたら、並行してまとまった量の文章を記憶する習慣を身に付けるようにしたい。
◇手書きかパソコンか
見た目の綺麗さや柔軟な編集可能性を重視するのであればワープロソフトを使用するのがよいであろうが、それ以外の場合は、ノートに手書きするのが現実的である。手書きであれば1文あたり1〜2分もあれば作成可能であるが、パソコンで綺麗に作ろうとするとかなり手間取る。
ノートの種類であるが、文の長さにもよるものの、B5のノートが一番使いやすいように思う。
筆記用具としては、書き直し可能なシャーペンがよい。仕上がりの面からはコントラストが高いボールペンに軍配が上がるが、気楽に作業できることの方がはるかに重要であろう。