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(3) ブログ記事の体系的閲覧には 目次一覧 をご利用ください。

2015年06月14日

横山カズ『パワー音読入門』

はじめに

日本国内にいながら完全独学で同時通訳者になった著者・横山カズ氏による、新しいトレーニング方法の本。現代日本人英語学習者の多く(おそらく私も含め)に不足している部分をカバーするもので、英語(外国語)学習の世界では今年一番のヒットに値する内容を持っていると思う。

汗をかかずに体を鍛える方法がないのと同様、言わば頭で汗をかく(?)ことなしに英語力を鍛えることはできない。大学入試の4技能化が進んでいることもあってか、最近では「話せるようになるためには話す練習が大切だ」と言われることが多くなってはきた。しかし、実際に取り組もうとすると、個々の英文すら自信を持って言えない現実に直面することが少なくないはずだ。

言うまでもないだろうが、これは「話すために必要な<ナニカ>を、いつ、どのようにして吸収するのか」という極めて本質的な観点が抜け落ちているせいだ。横山カズ氏のパワー音読(以下「POD」)は、生きた英文を徹底的に吸収するという方法によって、この問題に対する強力な解決策を提示している。


例文学習としての面

その意味で POD というのは私がかねてから説いている例文学習の一種であり、もっと一般化するならば、「型」を使った学び方(それは東アジアが世界に誇る伝統的な智恵であると言ってよい)の一種でもある。この<型による学び>の重要性を指摘する人は少ないようだが、本当はもっと評価されてよい側面であると思う。例文学習の効能については、私などよりもずっと昔からいろいろな人が言及している。以下に少し引用する。

根気よくこれをくり返しくり返し読んでいただきたい。日本文をチラッと見て英文が一息にスラスラと言えるまでに自らを訓練するのである。そうしてしばらくするとその文例は次第に消化されて自分のものとなり、時に応じて英語が口を突き、指先にうずくようになる、すなわち応用ができる段階に到達する。
(佐々木高政『和文英訳の修業』(文建書房、絶版)初版「はしがき」)

 まず、英文の方をふせて、日本文を自分で口頭で英語にしてみる。それから、英語のほうをチェックする。作文には自信があっても、ともかく、その本を、考えることなくスラスラいえるようになるまで、繰り返し繰り返し練習した。はじめて見るような単語は、全部を通して一つもなかったが、知っていて使えずにいた単語に生命力を与えてくれた点で、この本は、はかりしれないほど役に立った。
(種田輝豊『20カ国語ペラペラ』(実業之日本社、絶版)p.66)
 ……暗記用の五百の文例は、すべて習得し、日本語の部分を見てすぐ英語がでてくるようになっていたうえ、それらの暗記した文が、常時、混乱したエコーのように頭の中で聞こえるようになった。
(同 p.82)
 わたしがこれまで、多国語を話せるようになった経験からいって、最良の方法と信じているのは、基礎的な文章を丸暗記してしまうことである。
(中略)
 章句を暗記していれば、組み立ての苦労なしにそっくりレディ・メードを実用に供することができる。しかも五百の章句で、たいていの表現はまにあわすことができるのである。多少のおきかえの機転がきけば、まず、こまることは少ない、といっても過言ではない。
(同 pp.184-185)

これらはいずれも拙著で(もともとは7年前のブログ記事で)紹介しているものだが、特に注目すべきなのは上で赤字にしてある部分だ。これは単なる「勉強」の域を超えていて、まさに「修業」の結果であると言ってよいものだ。これこそが外国語学習の秘訣であり、今回の POD は(まったく同じではないとしても)類似の成果を上げるための具体的方法の一つであるというのが、私の POD に対する基本的な評価だ。ちなみに「音読」という名称を使ってはいても、その実質は「音読をとおしてのリプロダクション」と言ってよいだろう。


本書について

さて、肝心の本書の中味だが、まず冒頭の理論編では開発の経緯とともに「実践法」が詳しく述べられる。そしてその後の実践編にはたくさんの素材が用意されている。

掲載されている例文はどれも生き生きとしたもので、著者が普段からどれだけ大量のナマの英語に触れているかを感じさせるに充分なものがある。もちろん音声もある。また、単元ごとに1つの文法的テーマを割り振りながらも、それと同時にユーモアを盛り込むことも忘れていない。特にダイエットネタ(p.102)の最終行などは、なかなか痛いところを突いていると個人的には思う(汗)。

ついでながら、各単元(見開き)の左下と右上の欄にも親切な工夫が見られることを指摘しておきたい。

(この方法を実践することで得られる具体的な効能については、下記のフォローも含めた記事を近日中に書く予定である。)


私なりのフォロー

さて、ならばこの1冊があれば誰でもスムーズに練習が進められるのかと言えば、少しばかりの不安が残る。というのも、持ち合わせている知識も能力も、学習者一人ひとり異なるからだ。その点をケアするために特に重要なものとしては、@音声面、A文構造、B復習方略 の3つがある。以下、分説する。

@音声面

本書でも音声面を軽視しているわけではない。特に Step 3 の「ささやき音読」は秀逸で、私もかつて無声子音(例えば strike の [st] など)の発音を練習する際に、似たような方法を使ったことがある。もっとも私は「ひそひそ話」と形容していたが。

とは言うものの、音声面において注意すべき点は無声子音にとどまらず、実はかなりの数がある。それらはどうするのか?

その点に対する私からの処方箋は2つある。一つは (a) 適当な教材を使って発音全般についての基礎的な勉強をすることで、もう一つは (b) POD する個々の素材について、お手本の音声をよく聴いて音声面の確認をすることだ。

(a) の目安としては、辞書の発音記号一覧に掲載されているような簡単な実例(単語)を自信を持って実演・解説できるようになればよい。また、(b) については、最初は無理に音読やシャドーイングに走らず、しっかりと聴き入ることをお勧めしたい。

ちなみに私の場合は、15年くらい前に40分ほどの音声素材を300回くらい繰り返して聴いたことが、音声面において大きな転機となった。これはそのときの経験から断言できるのだが、そのような徹底した反復(これは (a) に属する)によって音声面に関するガッチリした基盤ができあがると、新たな例文を学ぶ際(これは (b) に属する)に必要とされる分析・再確認の時間はどんどん短くなり、最終的にはほぼゼロになる。

A文構造

これについては Step 1 の「チャンク音読」があり、簡単な構造の文についてはそれで足りる。しかし、例えば p.64 に登場する "what it takes to be ○○" という言い回しに関して、どうしてこういう言い方ができるのかがピンと来る人は、中級レベル以下ではそれほど多くはないと思う。丸覚えすれば使いこなせるようになるのだとしても、私のように理論派を自認する人間にとっては少し物足りないのも事実だ。

そこでその攻略方法が問題になるわけだが、「受験勉強にも POD を」(p.126)にヒントのようなものが書かれている。それを手元の教材(英作文や構文の参考書がよかろう)で実践すると、かなり大きな御利益(ごりやく)があると思う。

なお、文構造を複雑化していく体系については拙著で詳しく触れているので、適宜 POD と併用されたい。現在準備中の改訂版では更にわかりやすいものにする予定である。もちろん、市販されている本の中にも、澤井康佑『一生モノの英文法 COMPLETE』(別途紹介予定)など、この目的に有用と思われる参考書がいくつかある。

B復習方略

本書の方法は、どちらかというと一度にガーッと反復するものだ。ところがこういうやり方(維持型リハーサル)は、短期記憶には残りやすいが長期記憶には残りにくいと心理学の世界では言われている。これをカバーするには、(1) 情報を精緻化すること(精緻化リハーサル)や、(2) 反復の間隔を少しずつ長くすること(間隔伸長法)などの工夫が有効だろう。このうち (1) 情報の精緻化はAで述べた文構造の理解・再措定で足りるであろうが、問題は (2) 反復の方法だ。

本書の記述としては「気に入った素材・自分の弱点である文法や単語の表現を含む素材などを1つ決めて、一定期間(3日〜1週間)継続して POD することをお勧めします」(p.53)という部分が大切で、これは特に初心者〜中級者に有益なアドバイスだと思う。というのは、学ぶ素材は互いに無関係なように見えても実はたくさんの共通点を含んでいるため、特に初期の段階ではできるだけ継続的反復の比率を高くした方が後々の学習に資するものが多くなるのだ。ただし、反復の間隔は少しずつ長くしていくようにスケジューリングすると、よりよい効果が得られるだろう。

というわけで、私なりに3点挙げてみたが、私はこれらが POD の弱点であると考えているわけではない。むしろ、これらの点を意識することで POD の効果が確実に発揮できるのではないかと考えている。そもそも個々人に不足しているものには違いがあるのだから、学習者一人ひとりが自分自身の状況をよく知って工夫する必要があるのは当然のことだ。

もちろんこのことは、どんなノウハウについても大なり小なり言える。むしろ大切なのは、学んだノウハウに関して、提唱者と同じくらいの熱意を持って取り組めるかどうかだろう。どんなに有効な方法でも、それを知っただけでは意味がないのだから。


今後に向けて

以上長々と述べてきたことからもわかるように、今後の POD には非常に大きな可能性がある。もっとも、話せるようになるための訓練に関して、優れた方法が過去に存在しなかったわけではない。このブログ(そして拙著)でも詳しく紹介している96型ドリルや転換練習などはまさにそうであり、熱心に取り組めば POD に匹敵する効能があると私は考えている。ところがどういうわけか、それらの方法は今ではほとんど顧みられることもない状況にあるというのが悲しい現実だ。ラクを求める時代だからか。

それに対して今回の POD は今まさに脚光を浴びつつところだ。これが往年のドリルたちと同じ道を歩んでしまってはもったいないわけだが、それを防ぐ最良の方法は、POD の支持者やその生徒さんたちが POD を実践して結果を出しつづけてみせることだろう。冒頭にも書いたように、実力をつけるには汗をかくことが何よりも大切だ。

もちろん同じ方法で「往年のドリルたち」の復活も試みたいところであり、拙著改訂版ではその点も併せて強調したいと思っている。


もうひとつふたつ

最後になったが、今後も著者によるセミナーが開催されるであろうから、機会があれば参加してみることを強くお勧めしたい。たとえ本を味読して頭で理解していても、現場に行って生で見ることによる刺激の大きさは決してバカにならない。私も過去に2度ばかり参加しているのだが、特に著者による同時通訳の実演は圧巻だった。

参考までに、これは先日ネットで放送された番組の模様。私はスタジオ内で聴いていた。50分ほどの番組であるが、これにより著者の「人となり」がよくわかるので、ぜひ最後までご覧いただきたいと思う。




 

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2014年09月21日

『カラー改訂版 まるおぼえ英単語2600』

10年前に出ていた本の改訂版。初版は記憶にないが、見たところ、作りはなかなかよい。20 Chapters × 22 Units で、見出し語は全2642語。

世の中に英単語集は腐るほどあるが、最近はランク別のものが多く、分野別のものは比較的少ないと思う(各ランクの内部が分野別になっているものは見かけることがあるが)。

内容的なつながりを重視する私が以前から思っていたのは、

 ・全体が分野別になっている
 ・各見出し語にランクが表示されている
 ・音声が付属している

という3つの条件を満たした単語集はないかということ。

この条件を満たすものは、私の手元にあるささやかなコレクション(?)の中では『鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』(音声は別売)くらいしかない。書店でもあまり見かけない気がする。そんなわけもあって、この本を書店で見つけたときは「おっ!」と思い、即買いした。人気女性声優による「読者への応援メッセージ」がダウンロード音声に含まれているというのが少し気にはなったが…。

さて、帰宅して版元のサイトから音声をダウンロードすることにした。サイトの専用ページに行くと、Chapter ごとに1つの zip ファイルをダウンロードするようになっていた。「どうせなら全部まとめてくれればいいのに」と思いつつ全20ファイルをダウンロードし、一つひとつ解凍したところ、1つの zip につき1つの mp3 が現れた。つまり、音声は Unit ではなく Chapter(=22 Units)ごとのカタマリになっているのだ。プレイに要する時間は1ファイルあたり15分以上。これでは反復学習に向かない…。

更に気になるのが「読者への応援メッセージ」だ。和訳部分を人気女性声優が読んでいるのはまだよい(私はあまり歓迎しないが今回のはギリギリセーフというところ)。しかし、彼女たちによる応援メッセージなるものが、萌え萌えの声でところどころ(5 Units ごとらしい)に入っている。それも含めて15分以上が一続きになっているのだ。

版元はこれまでも英語の教材を多数出版しているのに、どうしてこんなことをしたんだろうか。すぐにでも音声を Unit ごとに分割したものをダウンロードできるようにしてほしいと思う。


posted by 物好鬼 at 17:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 個別の教材について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月30日

『やさしい英語で「不思議の国のアリス」を読もう』ワークショップ

同書の著者は神林サリー氏。子供の頃から英語が大好きで、「英語は勉強だと思ったことがない」という、ある意味非常に羨ましいタイプの人物である。彼女とは1月19日に六本木で開催された「英語教育を考える会」で知り合ったことがキッカケで、著作も一通り(といっても5冊+別売 CD 1枚だが)買い揃えた。内容としては私にも納得できる部分が多いだけでなく、1冊1冊が非常に丁寧に作られているという印象を受けた。そこでこのたび上記「アリス本」の出版記念ワークショップに参加してきた。

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この『やさしい英語で「不思議の国のアリス」を読もう』は彼女の最新作で、初のリーディング本ということになる(他の著作については後述)。

本文は原作そのもの(それは古くて難しいのだそうだ)ではなく、クリストファー・ベルトン氏(『知識と教養の英会話』など多数の著書がある)によってリライトされたものだ。とはいえ、スラスラと読みこなせるには「高校で英語が比較的得意だった」という程度の力は必要だろう。総単語数は13,000語程度で、本文に対応する104分ほどの音声データ(MP3)が CD-ROM として添付されているので、私はパソコンとウォークマンに入れて使用している。ナレーションを担当しているのはレイチェル・ワルザーさん(安河内さんのラノベシリーズなど多数の実績がある)。さまざまなキャラクターの声を瞬時に使い分ける芸はなかなかのものだと思う。

本書を手にとって最初に目に付くのは、全256ページがフルカラーであること。イメージを抱きやすいようにたくさんのイラスト(もちろんカラー)が付されているし、制作にはかなりの手間暇がかかっているはずだ。これで本体価格1800円というのは、それなりの売れ行きが見込めると版元が考えていることを意味する。これまでの著作の「丁寧さ」が実を結んだのだと私は理解している。

肝心の中味だが、「はじめに」で本書の3つの特徴を紹介したあと、「たのしい多読の世界へようこそ」として、多読学習の具体的な方法について解説している。特に多読ノートの実例はわかりやすく、多くの学習者の参考になると思う。私にとっては、黙読の重要性および私自身の実践不足を痛感させられたことが、最も大きな収穫だった。

本体部分は12章に分かれていて、章ごとに「英文のページ→和訳のページ」という構成になっている。英文のページは、読みやすい本文の下に簡単な語注がある(一部のページはイラストのみ)。もっとも、「簡単な語注」といいつつもところどころに気の利いたコメントが付されていて、何度か感心させられた。ただし、一部の語句については発音記号(ものによってはアクセントの指示だけでも)があればよかったと個人的には思う。

さて、今回のワークショップ参加への準備として、まずは全体を1回音読し、その後は1〜3章を中心に音読を繰り返した(音声は1〜3章を1回聴いただけ)。最近の私は少し音読をサボり気味で口が鈍っていたが、1冊分+αの音読でかなり調子が戻ったと思う。ワークショップの中でそれを披露する機会はなかったが、終了後のカラオケでは密かに役立ったと勝手に思っている(笑)。

また、他の参加者からある学習法について質問が出たとき、著者が「極端な考え方というのは間違っていることが多いので気を付けてくださいね」という意味のことを言っていたのが非常に印象に残っている。私自身もかねてから考えていたことであり、この著者は信用できると思った。その他のいくつかの論点についても、率直に意見を交換することができた。

ところで、今回のワークショップはリーディングに関するもの(それも初心者向け)だったのだが、私にとっての最大の課題はスピーキングだ。毎月参加している紘道館「例会」ではビリに近い実力しかないのだから、スピーキング力の向上こそが喫緊の課題と言える。しかし、その例会というのは、玉砕して恥をかく場としては優れているものの、基礎的な訓練をする場としてはほとんど使えない。

ちなみに、この著者の著作のうち最初に刊行された『Sally 先生のバイリンガル英会話学習法』は英語学習全般を扱ったものだが、その後の『英語で手帳にちょこっと日記を書こう』『英語で手帳を書こう』『英語でショート・スピーチ』は発信志向の著作であり、今回の「アリス本」は初めてのリーディング本ということになる。

それらの中では現在の私にとって最も有用そうなのは『英語でショート・スピーチ』だろう。これは大学向けの教科書ということで書店では売られていないそうだが、Amazon では他の本と同様に購入できる(別売の CD は営業部に直接注文しなくてはならない)。今後は同書なども参考にしつつ、スピーキング力を高めるための実践をしていきたい。

最後に。
今回は、ワークショップ本体および食事・カラオケで非常に楽しく有意義な時間を過ごすことができた。他の参加者も皆さんいい人たちばかりだったし、著者(普段は文字のやりとりしかしていない)からも多くの刺激を得ることができた。この機会を無駄にしないよう、特に「英語は勉強だと思ったことがない」というマインド(?)は最大限マネさせてもらいつつ、明日から(今日から?)英語の勉強に邁進したいと思う。


   
 

posted by 物好鬼 at 23:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 個別の教材について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月01日

杉山『杉山式 究極の音読プログラム[初級コース]』は1粒で5度おいしい?


(リンク先で中身を閲覧することができる。)

発売から1ヶ月以上経過しており、なかなかよい教材だということは複数の人から聞いていた。私は一昨日になってようやく入手し、昨日の昼休みに最初の部分を CD 音声を聴きながら読んでみた。

裏表紙側のカバーには
【本書の学習プロセス】
STEP 1 スロースピード・トレーニング
STEP 2 英文の文法解析
STEP 3 スラッシュ音読
STEP 4 シャドーイングで反復練習
と書かれている(小さい文字の部分は割愛した)。

まず、巻頭には文型+αについてコンパクトな解説がある。内容的には拙著『英文構造図』のTとUに相当するものだが、そのうちの本当に重要なところを無駄なくまとめている。ただし、文字のみでの解説である点は、従来からある多くの教材と変わらない。

本文は全部で30のチャプターからなっている。とりあげられている文章は分量的には多いとは言えないが、厳選された素材(後述するように意外とレベルが高い)を繰り返し利用してステップアップできる点が優れている。ここ最近の私が「こういう本があったらいいなあ」と思っていたものに近い。

各チャプターの解説も無難に仕上がっている。ただ、語句には(注意すべきものだけでも)発音記号があるとよかったと思う。音読のための重要情報だから。

文法解析は本書のキモの一つだろう。これは巻頭の文型解説と同様、私の構造図を使った方がわかりやすい(手前味噌ではあるが)。この点はこのすぐ後で詳説する。

ナレーションもよく、音声については文句なし。ただ、語句欄が「Words & Sentences」という見出しになっている理由は、私にはよくわからない。


さて、チャプター1の例文は
We must repair the damage which we have already done by preserving large areas of wilderness and giving the animals and birds that live there the right to exist.
というもの。「初級コース」の最初の課題にしてはなかなか骨があると思う(最終目標はどのくらいのレベルなんだろうか)。これを構造図で表すと次のようになる。

We
must repair(@)
the damage
which
we
have already done(A)
t
by
preserving(B)
large areas
of wilderness
and
giving(C)
the animals and birds
that
t
live(D)
there
the right
to exist.

原文中には6つの動詞があるが、最後のもの以外に@〜Dの番号を付けてみた。
※p.35 の解析図にミスがあるようだ。文末の ')' は1行目の右端(done の直後)に置かれるべきものであろう。そうしないと訳文と矛盾する。私の図は訳文に従って作成してある。

私の考えでは、
動詞のそれぞれについて、
(1)それを述語動詞とするような文(「要素文」と呼ぶ)を想定し
(2)その要素文を「原文全体の中で使われるかたち」に作りかえる
という作業を行ったうえで、さらにそれらを組み立てて元の文に辿り着く
というプロセスを踏むことで、階層構造を持った作文力を構築することができる。

もう少し詳しく説明してみる。ここでも英文構造図が威力を発揮する。

まず、@による要素文は下図左側のようになる。それを頭の中で操作して、右側のように変える(ことができるように訓練する)。
We
must repair
the damage.
We
must repair
the damage
●●●
by●●.

次にAによる要素文。これも左のようなものをまず考え、右側のように変える。
We
have already done
the damage.
the damage
which
we
have already done
t

Bによる要素文。
We
preserve
large areas
of wilderness
preserving
large areas
of wilderness

Cによる要素文。
We
give
the animals and birds
the right
to exist.
giving
the animals and birds
●●
the right
to exist

Dによる要素文。
The animals and birds
live
there.
the animals and birds
that
t
live
there

このように要素別に扱う訓練をして、慣れてきたら順に統合して原文を再現できるようにするとよい(これは短期記憶で足りるだろう)。その意味からは「本書の学習プロセス」に「STEP 5 リプロダクションに挑戦」みたいなものがあればもっとよかったかもしれない。まあ、素材は目の前にあるのだから、あとは各自が必要に応じて自発的にやればすむことではある。

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2013年05月22日

山口『英語構文全解説』

ついに出た!というべき1冊。「本編」と「補遺」からなる。

まず「本編」は幻の名著『コンプリート高校英語構文』の「復刊」「再現」となっている。この言い回しからすると、内容は旧著のままということなのだろう。少なくとも、加筆・修正されたとはどこにも書かれていない。

一方の「補遺」は新たに追加されたもので、10の単元からなる100ページ近い文章。1 は「英文読解の根本的な考え方」、2〜9 は「主要な構文の要点と解説」、そして10は「その他」となっていて、この部分だけでも本書を購入する意味がある。

さらに、最後にある「あとがき」もかなり長い。こちらは著者の半生を記したものだが、予備校英語の歴史に馴染みのある人にとっては興味深いのではないだろうか。

さて、肝心の「本編」だが、その特徴はいくつかあると思う。

まず形式面としては、
 ・字が大きめ(判が大きいから当然だが)
 ・例文が EXAMPLES としてまとめられている
といったところが個人的にはありがたい(どちらも同じ著者による『総合英文読解ゼミ』とは対照的)。これら2つの特徴ゆえに、音読素材としても使いやすいものになっているからだ。

一方の内容面としては、やはりその体系性に触れるべきであろう。全体として
 ・PART 1:単文(SVOCM、助動詞、準動詞、前置詞句)
 ・PART 2:複文のうち名詞節を含む文
 ・PART 3:複文のうち形容詞節・副詞節を含む文(比較も)
 ・PART 4:関係詞の継続用法、重文
 ・PART 5:倒置、同格・挿入、共通関係・省略
という構成になっていて、さらに150の単元に分けて詳細な解説がなされている。なお、『総合英文読解ゼミ』ではなぜか受動態が抜けていたが、こちらには収録されている。

本書の内容・体系は拙著『英文構造図』三部作との親和性も非常に高く、両者を併用・併読することでヨリ正確な理解が得られるものと思う。私自身も拙著をよりよいものにするために、この『英語構文全解説』を酷使していきたいと考えている。学んだ内容については今後もこのブログで継続的に取り上げていく予定である。

蛇足だが、本書はA5判上製696ページで定価2,625円であり、本格的な教材なのにかなり敷居が低い。本書の刊行が、より多くの人が英文構造について学ぶキッカケになればと思う。




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2012年11月16日

発音検定受験に向けて

一般社団法人 国際発音検定協会というところが「国際英語発音検定」というのをやっている。まだ新しい検定とのことであり、来週末・11月25日に第4回が東京で実施される(前回は大阪)。

試験の内容は、リンク先によると、

1. 以下のような簡単な質問を4、5問われます。
  What is your name? 【 → My name is (your name).】
  What is the date today? 【 → Today is ( month )(date), (year ).】
  Where are you from? 【 → I'm from (Osaka).】
   (発言内容の審査ではなく発音チェックのための質問です。)
2. アルファベットをゆっくりと読み上げます。
3. 初見の英文を30秒間黙読した後、音読します。
4. 次の文章の中から当日指定される部分を読み上げます。(所要時間:1分間程度)

となっている。4にある「次の文章」というのは、Oscar Wilde の初期の作品「The Selfish Giant」のことで、150語程度の範囲が指定されるらしい。上記サイトで全文が入手できる。

試験会場では全ての音声が録音され、「訓練を受けた審査員が複数名で音素の発音、リズム、イントネーションなどの側面から細かくチェック」して、1級〜5級のランク付けがなされるという。

検定料は4200円(学生は3000円)で、上記サイトから申し込む。締切は来週月曜(19日)。写真付きの身分証明書を持っていない場合は、写真付きの住基カードを作るとよい(月曜日に申請すれば金曜日までには受け取れるはず)。


せっかくの機会でもあるので、私も受験してみることにした。正直、ちょっと割高な気もするが、貴重な機会であるのは間違いない。

具体的には、
 (1)『日本人のための英語発音完全教本』等による知識レベルでの確認
 (2)「The Selfish Giant」の音読練習
 (3) いくつかの具体的素材の反復による訓練
を軸に行っている。

まず (1) は、手元にある数冊の関連書のうち、解説が最も詳しい。必ずしも同意できない部分も残っているが、最大限活用しようと思っている。もちろん、適宜他書も併用している。

次の (2) は検定の共通課題なので、当然であろう。

(3) を行う理由は2つある。一つは、(2) に対応する音声素材を持ち合わせていない(ネットで検索すると何種類か聴けるが…)こと。もう一つは、「初見の英文を30秒間黙読した後、音読」への対策である。

発言や音読に際しては「発音」だけでなくアクセントやイントネーションやリズムなども(ひょっとすると声色とかも?)問われるわけだが、それには文の構造や内容(強調すべき部分とか)について的確に判断することが求められる。課題文については練習時間が持てるが、「初見の英文」に関しては30秒しか与えられない。

つまり、音声面を訓練するときには、普段から文の構造や内容に注意して行う必要があるということだ。そのため、上記 (3) に関しては、ごく少量の素材を1000回以上反復することで質的なレベルアップを図るように心掛けた。今更ながら新しい「気付き」もたくさん得られ、非常に役立った。

言うまでもないことだが、構造理解に関しては私自身が開発した英文構造図がものすごく役立っている。リンク先に詳細が書かれているので、まだの方は是非参照されたい。


今回の受験は、高3の頃に始めた発音学習(今年で30年目)の総決算だと考えている。それだけに1級以外の結果は想定していないが、「約1ヶ月後に認定級の発表ともに、今後の発音学習に役立てていただける個別レポートをお届けいたします」(ここ参照)とのことなので、個人的にはそれを楽しみにしている。


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2012年11月06日

多読を始めるなら『霊感少女リサ』はいかが?

ついに出た!

「受験英語のプロフェッショナル・安河内哲也 a.k.a. Ted Eguchiの書き下ろし英文小説!!」というのは同書の帯に書かれた文句。畏友・安河内氏が満を持して書き下ろした英文ライトノベルで、(自称)D級ノベリストとしての処女作となる。

ストーリーは単純明快でありながらなかなか楽しませてくれる。難易度は「センター試験基礎レベル・英検準2級〜2級レベル」で、分量は5000語程度(ダウンロード音声は40分強)となっている。それが8つの章に分割されているので、不慣れな人でも息切れせずに楽しめると思う。私は歩きながら一気に聴いた。

音声は女性ナレーターによるもので、聞き取りやすいアメリカ英語。速すぎず、さりとて不自然なほど遅くもない(40分で5000語だとすると分速125語)。テキストを見ながら何度も聴き、慣れてきたらどんどんマネしてみるとよいだろう。

デザインもイラストもよくできていて、計算され尽くした感じすらある。コンパクトで持ち運びやすいのも長所。

これは薄手の教材ではあるが、1冊読み通せば大きな達成感があるはずだ。それに比べれば、テストに出てくる「長文」など実は「短文」にすぎないと感じることができるだろう。

また、この本が気に入ったら何度も繰り返すとよい。必ずしもこの教材である必要はないが、気に入った少数の教材にトコトンこだわってみることは、実力向上のために極めて大切なことだ。

なお、本書はあくまでも「英文多読シリーズ」の第1弾である。Facebook 上では著者が舞台裏を書いてくれたりするのだが、執筆・制作は順調に進んでいるらしい。次回作以降にも大いに期待したい。

教科書や問題集以外で英文に触れる機会の少ない人は、これを機に多読にチャレンジしてみるとよいと思う。そういったことが大きな転機となるかもしれない。そして本書はそのための手頃な「1冊目」になるはずだ。定価630円(税込)と購入しやすい(というより採算を度外視した?)価格設定なので、ぜひ気軽に購入し、気軽に取り組んでほしい。


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2012年07月01日

『日本人のための教養ある英会話』

4年前に刊行された『知識と教養の英会話』の続編。体裁も分量も同じ。

どちらもレベルは高く、スピードもある。さまざまなテーマを扱っているので、1級2次試験対策にも使えるだろう。

一応ダイアログではあるのだが、会話集のような短文でのやりとりではなく、それぞれがかなりまとまった主張をしている。そのため、モノローグやスピーチと同様、何度もシャドーイングや音読を繰り返すのに向いていると思う。

どちらにも2枚の CD が付属しているが、『日本人の…』の Disc 2 はトラック 30 の内容が 29 とダブっていて、それ以降は番号が1つずつずれている。モレがあるわけではないので実害はないが、使用に際しては注意されたい。



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『シャドーイング・音読と英語習得の科学』

5年前に同社から出版された『シャドーイングと音読の科学』の続編。

この2冊は、英語の学習法について考えるために認知心理学などの成果を学びたい人には必読であると思う。著者は「はしがき」の中で「シャドーイング・音読を活用して、英語・日本語などの外国語をいかに習得するか、その道筋のほぼ全貌を明らかにすることができるところまで到達した感があります」と書いているが、それだけの中身はある。

幸い、図・写真・グラフなども多いし、語句の解説もあるので、特別な予備知識がなくても充分に読めるはずである。もちろん、ある程度の根気は必要である。



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『あたりまえながらなぜ英単語はすぐ忘れてしまうのか?』

英単語以前にタイトルも忘れそうだが、英語では “Useful English Words” と極めてシンプルなタイトルになっている。

内容的には、『英単語 Make it!』2冊の改訂合冊版みたいな感じだが、体裁は大きく変更された。今回のは“Time to Read”の文を中心にして、その下に関連語句の解説をぶら下げたかたちになっている。要するに、『DUO』型である。

ただし、本書は本文624ページで、例文数866(なかなか手強いものが多い)、見出し語数1941(多くはないが『DUO』より高度なものを多数含む)となっている。

語句については派生語や用例まで掲載されていて、充分親切だと思う。しかし、文の構造については構文や熟語として紹介されているだけなので、あまり力のない人には勧められない。逆に、ある程度力のある人にとっては、只管朗読の優れた素材になると思う。

なお、付属の CD-ROM には「リーディングバージョン」(11時間)と「英単語速習バージョン」(2時間)が含まれているが、特に前者はちょっと親切すぎるかもしれない。個人的には、英文だけをまとめて読んだものがないことに不満を覚える。



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2012年06月04日

越智ら『英文構造理解』

ほんの2ヶ月前に出たばかりの本。B5で112ページ。

大学のテキストとして書かれているが、小難しい理屈を紹介したものではなく、「五文型の基本をもう一度確認し、英語の文が長くなってしまう理由を文法的に理解し、その上で、長い文に対処するためにそうした文法知識をいかに活用するべきか、その運用技術を学習してい」くことを目的としている。

目次は次のとおり。
UNIT 1 基本文型と“前置詞+名詞”
UNIT 2 倒置:“there is 構文”と疑問文
UNIT 3 基本文型・演習
UNIT 4 動名詞
UNIT 5 動名詞・演習
UNIT 6 分詞(1)
UNIT 7 分詞の形容詞的用法・演習
UNIT 8 分詞(2) 分詞構文
UNIT 9 分詞構文・演習
UNIT 10 分詞(3) Cになる分詞
UNIT 11 Cになる分詞・演習
UNIT 12 総合演習(1)
UNIT 13 不定詞(1)
UNIT 14 不定詞(2)
UNIT 15 不定詞・演習(1)
UNIT 16 不定詞・演習(2)
UNIT 17 同格と等位接続詞
UNIT 18 同格と等位接続詞・演習
UNIT 19 形容詞節(関係代名詞)
UNIT 20 形容詞節(関係副詞)・副詞節
UNIT 21 名詞節
UNIT 22 節・演習
UNIT 23 総合演習(2)
UNIT 24 総合演習(3)
(他に1ページ大のコラムが8つある。)

大ざっぱに言うと、拙著『図でわかる英文の構造』(初版)の「U 5文型の基本」と「V 5文型の応用」に相当する内容を扱っている。

本文の構成だが、特徴的なのは何と言っても演習の存在である。UNITごとに簡明な解説がなされた後に“LET'S TRY”と称する問題がいくつか置かれている。さらに(目次に見られるように)「演習」という単元が用意されている(というか、24 UNITS のうち 12 UNITS が演習だ)。問題の大半は「次の文の構造を考え、訳しなさい」であり、ところどころに語順整序がある。

使われている語句は易しいものが中心で、やや難しい(と言ってもせいぜい中程度の)語句には注が付いている。難しい語句を学ぶことを目的としたテキストではないので、その点は心配しなくてもよい。タイトルのとおり「英文構造理解」に専念できると思う。

一つ気になることとして、実は本書には解答が付いていない。大学のテキストだからであろう。この不便を解消する最良の方法は、一つひとつの文を図式化していくことである。そうすることで、構造理解のレベルが明確になるからである。その意味で、拙著との併用を強くオススメしたいと思う。

※図式化にあたっては、英文構造図作成ツール上で試行して、できたものをテキストファイルとして手元に置いておくとよい。最初は元データの書き方に戸惑うかもしれないが、教材の目次に従って易しいものから順に取り組んでいけば、それほど大きな困難に出会うことはないと思う。



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2012年04月30日

『日本人のための英語発音完全教本』

私は高3の頃に発音の勉強に熱中したことがある。本格的な教材は見つからなかったが、発音記号を一つひとつ攻略し、歌を使って反復練習したものだ。身近な英語教師たちのレベルはすぐに追い越した。そして翌年(浪人時代)に知り合いのアメリカ人から「あなたの発音は日本人のものとは思えない」と言われたことに気をよくして勉強・練習を続けていたら、東大教養学部の英語の授業では「発音の専門家」という名誉ある綽名を教官からもらった(その教官の発音は見事なクイーンズイングリッシュであった)。その後10年以上たってからリズムの重要性に気が付いて更に勉強。一つのCD素材を300回以上反復することで高い成果を上げたと自負している。

これはまったくの余談だが、駒場寮に住んでいた頃、同じ部屋の住人から「“wool”って、本当は『ウール』じゃなくて『ウル』って発音するんですよね?」と聞かれたことがある。それに対して私が「いや、正確には /wul/ だよ」と実演してみせたところ、その彼は全く真似できなかった。これは当然のことで、/l/ は言うに及ばず、/w/ も /u/ も 基本練習なしでは正確に発音できないのだ。そんな音が3つ連続した語なのだから、簡単に真似できないのも無理はない。

さて、そんな私ではあるが、ひょんなことがキッカケで、ほんの数日前に音声面の勉強を再開した。今回は一般向けの本から専門家向けの本までターゲットを広げ、複数の大書店を何度も何度も訪れては書棚の本を片っ端から取り出して比較検討してきた。そして今日の午後になってようやく「これを買おうかな」という段階まで到達していたのだが、レジに行く直前になって見つけたのが、この『日本人のための英語発音完全教本』だった。奥付を見ると、一昨日刊行されたばかり。道理で気付かなかったわけだ。B5判252ページで、全ページフルカラーである。その圧倒的な詳しさと分かりやすさに驚いた私は、ためらうことなくその本を購入した。

目次は次のとおり。

第1章 英語発音を学ぶ前に
  §1 発音が日本の国際化を阻んでいる?
  §2 英語発音に必要な息、声、筋肉をつくる
  §3 発音の知識を身につけよう
  §4 本書の構成と学習の進め方
  §5 イギリス英語とアメリカ英語

第2章 発音のための基礎知識と筋トレ
 第1節 声に関する体の器官の名称と基礎知識
  §1 調音器官
  §2 有声音と無声音
 第2節 英語らしく発音するための最重要課題とトレーニング
  §1 英語の「息」と「声」
  §2 準備体操
  §3 英語の息をつくる
  §4 英語の声をつくる
  §5 舌と顔の筋肉を鍛える
  §6 英語の息と声 究極のトレーニング法
  ●英語発音のための10分間エクササイズ

第3章 子音
 第1節 子音の基礎知識
 第2節 子音の発音
  §1 鼻音
   1. /m/
   2. /n/
  (以下略)
  聞き取りにくい子音の発音
  発音解説(コラムとして点在)

第4章 母音
 第1節 母音の基礎知識
  §1 母音の分類
  §2 英語の母音の数
  §3 イギリス発音とアメリカ発音の違い
  §4 母音図
  §5 母音の発音と唇の形
  §6 母音の共鳴スポットと声のベクトル
  §7 位置によって違う母音の長さ
  §8 母音の発音をする前に留意すべき点
 第2節 母音の発音
  §1 前舌母音
  (以下略)

第5章 音の連結
 第1節 語中の音の連結
  §1 語中の子音の連結
  §2 歯茎音、歯音の連結と舌の位置
  §3 子音の連結による音の添加と脱落
  §4 語中の母音の連結による半母音の添加
  §5 語中の強母音の半母音化とあいまい母音化
  §6 長い単語の読み方−アクセントとドッグブレス
 第2節 2語の連結、同化、脱落
  §1 英語の強弱リズムと機能語・内容語の関係
  §2 母音と子音の連結
  §3 母音および子音の弱音化と脱落
  §4 2語の子音連結
  §5 母音+母音で半母音の添加
  §6 2語の連結による音の脱落
  §7 2語の連結による音の同化
 第3節 ナチュラルスピードで英語を読む
  §1 英語の等時性リズム
  §2 イントネーション
  §3 句末原則
  §4 本来のアクセントと位置が変わる場合
 第4節 まとめ
  §1 アメリカ発音のまとめ  子音/母音
  §2 イギリス発音のまとめ  子音/母音

このうち、第2章で紹介されている基礎知識は「身に付ける」という観点からなされたもので、他ではなかなかお目にかかれないと思う。それも、とても詳しい。

また、第3章・第4章における各「音」の解説は、写真・イラスト・図・文章を併用して非常に詳しく丁寧になされている。英音と米音の違いについてもかなり踏み込んで解説されている。

第5章も秀逸。

CDとDVDが1枚ずつ付属している(最後の「まとめ」のみダウンロード)。

全体的な評価としては、音声学の専門家になるのでもない限り、これ1冊あれば足りるはずだ。他の本は一切必要ないと言い切ってもよいくらい、圧倒的なボリュームと分かりやすさを誇っている。本格的に学びたい人には必携の1冊だと思う。特に英語教師にお勧めしたい。


※リンク先に紹介動画がある。
※サンプルページなどはこちらで。

画面上部の英文構造図作成ツール『図でわかる英文の構造』(初版)もヨロシク!

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2012年04月26日

『INSPIRE総合英語 三訂版』

3ヶ月前に出たばかりの文法書。フルカラーで見やすいが、その割に色遣いは穏やかで目に優しい。

A5判で680ページというボリュームからも分かるように、高校英語の範囲を充分に網羅している。版元曰く「日常学習から難関大入試までを完全網羅」とのこと。

各章のはじめには warm-up と呼ばれる部分(ここは「ですます調」で書かれている)があり、その後に本文が来る。そしてその本文では、単元ごとに核となる例文を掲げ、それぞれに対応する解説が付されている。索引は30ページ程度。

付属CDはないが、基本例文(全702例文)の音声(MP3をZIPに圧縮して22.6MB)がダウンロードできるようになっている。


画面上部の英文構造図作成ツール『図でわかる英文の構造』(初版)もヨロシク!

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2012年04月25日

『脱・日本語なまり―英語(+α)実践音声学』

発音の勉強はしてみたけれど、はたして正しい道を歩いているのか気になるという人のための本。発音記号自体に馴染みのないレベルの人には向かない。

序章は簡単なチェック。ここで何問も落とすようでは情けないが、英語の先生にもそういう人は少なくない気がする。

第T章は、日本語の音。同時に音声学の基礎も学ぶ。

第U章は、英語の音。日本人が陥りやすい「なまり」と、それを克服する方法を述べている。
また、ビートルズの Yesterday が実はかなりアメリカ的な発音で歌われているという事実が示されていて、なかなか興味深い。

第V章は、英語以外の外国語の音。代表的な音に関する説明の後、28の言語が取り上げられている。

200ページくらいの分量なのに、索引は意外に充実している。

リズムやイントネーションには触れられていないので、別途補充する必要がある。

CDは付属していないが、著者のサイトから音声をダウンロードできることになっている。ただ、(ざっと見たかぎりでは)一括ダウンロードできるようにはなっていない模様である。これは改善を望みたいところ。


画面上部の英文構造図作成ツール『図でわかる英文の構造』(初版)もヨロシク!

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2012年04月08日

『ニュークラウン英語の基本文型』シリーズ3冊

ここ数日は大量のリスニングと少しばかりのシャドーイングをやっているのだが、バランスをとるためにドリルにも力を入れたい。ただ、96型ドリルなどに使いやすい、適当な例文集が手元になかった。

そこで池袋まで行って見つけたのがこの3冊。各冊新書版56ページで500円のカワイイもの。左ページは英文、右ページは和文。レベルは簡単だが、いわゆる構文に取り組む前にやるにはちょうどよいと思う。明日以降、主に帰り道で使用する予定。


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2012年03月17日

『ベーシックプログレッシブ英和・和英辞典』

以前から気になっていた『ベーシックプログレッシブ英和・和英辞典』をついに購入した。

英和21000語+和英13000語というかわいいものだが、ペーパーバックみたいな製本で、全946ページ、厚さは4.8cmある(そのため辞書としては珍しく本棚でもシッカリ自立する)。1色刷り。

まず、一般書と同じくらいの厚さの紙を使用している点が目を引く。そのおかげで、マーカーで塗ってもほとんど裏移りしない。これは他の辞書にはない長所である。

レイアウトを見ると、品詞(他動詞・自動詞も区別)、語義番号、用例、成句ごとに改行されているのが最大の特徴。このおかげで、探すときに見つけやすく、印を付けるのにも便利。余白が多いので、書き込みもしやすい。

意外に優れているのが、末尾にある和英の部。他の英和辞典ではただの単語リストになっていることが多いが、本書では「朝起きてから夜寝るまでの日常表現ができるように」用例を5000も載せている。

変化形はもちろん、複合語や派生語も一つひとつ改行されている。アクセントが記されていないのが玉にキズであるが、それは改訂版に期待したい。

もっと詳しい情報は、小学館ランゲージワールド内の「『ベーシックプログレッシブ英和・和英辞典』はここが違う」(3ページある)で読むことができる。紙面見本も掲載されている。


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2011年02月15日

本格的な作文力養成に『例解 和文英訳教本』三部作

正確には
 『英文表現力を豊かにする 例解 和文英訳教本 文法矯正編』
 『英文表現力を豊かにする 例解 和文英訳教本 公式運用編』
 『英文表現力を豊かにする 例解 和文英訳教本 長文編』
という。合計900ページくらいになる。残念ながらCDは付いていない。


1冊目は、ある程度の基礎力があれば取っつきやすいレベル。しかし、私が見ても知らないことがたくさん載っている。例えば「§5 過去進行形+when+SV」には「暗がりを歩いていたら、急に誰かに肩をたたかれた。」という課題があげられていて、著者は「この(前半と後半に対応する)2つの文をwhenでつなぐ際、どちらの文をwhen節に入れるべきなのか、そして、when節は文頭にするべきかどうか」と問うている。解説を読んだときの気持ちを端的に言えば、「そうだったのか! 知って得した!」であった。他にもこういう楽しいネタが満載である。各課題文に複数の英訳例が載っているのもありがたい。

2冊目は中ぐらいのレベルで、大学入試ならここまでで充分だろう。第1部は「文法・表現別」として1冊目の続きのような感じになっていて、各課題に2つ以上(最高7つ)の英訳例が載っている。第2部は「テーマ別」で、詳しい表現研究(後述)がとても役に立つ。

3冊目はかなり長い文を扱っていて、大学受験レベルは超えているだろう。著者も「上級者向け」と書いている。扱っているテーマは、2冊目の「テーマ別」と共通。

さて、上述の「表現研究」であるが、これは2冊目第2部と3冊目における白眉といってよい。各課題文について、その内容を表現するのに使える言い回しのさまざまな組み合わせがチャート化され、○△×による評価が付されている。各課題に2つ以上の英訳例(3冊目の場合は「解答例」)が載っているのは1冊目と同様であるが、このチャートを使うことで、何十とおりものバリエーションが可能となる。課題の数はそれほど多くはないが、一つひとつの課題から最大限に学ぼうという感じの作りになっている。


おわりに
高い評価を受けている英作文教材はこれまでにもいくつかあった。しかし、「内容が古い」「受験英語に偏っている」「上級レベルまで扱っていない」といった理由で二の足を踏むこともあったはずだ。その点、この三部作であれば、ホンモノの英語で上級レベルまで学ぶことができると思う。本格的に作文力を養成したい方全員にお勧めしたい。私もようやく教材選びから解放されそうだ。これでCDさえあれば…。

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2011年02月14日

中上級者のボキャビルに『スーパーボキャブラリービルディング』2冊

正確には
 『TOEIC TEST スーパーボキャブラリービルディング』
 『発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング』
という。いずれも3枚のCDが付いている(構成は単元によって異なる)。


前者『TOEIC…』には見慣れた語句が多い。しかし、使い方まで習得できているものは意外に少ないし、充分知っているはずの語句でも、いきなりCDを聴くと聴き取れないことがままある。TOEICでははるか昔2002年に875点をとっている私だが、語句についてはまだまだ穴だらけだということを痛感させられた。

後者『10000語』は英検1級レベルの本格派であり、当然のことながら、見たこともない語句がかなりある。そんなわけで、先に『TOEIC…』を片付けることにした。


この2冊について私が高く評価するポイントは主に2つある。

一つは、多くの単元が内容別にまとめられていること。内容的に関連のある語句はアタマの中でも相互につながり合っているものだから、関連する語句をまとめて学ぶ方が合理的である。その意味で、アルファベット順や(過度の)頻度順の単語集は使いにくい(少なくとも私には合わない)。

もう一つは、CDの音声がかなりスピーディであること。まさに容赦ないスピードなのだが、そのおかげで長崎玄弥氏の「秒速連鎖記憶法」みたいなことが簡単にできる。つまり、クイックリスポンスである。

Amazonを見るとレイアウトなどについて辛口のコメントが見られるが、私は全然気にならない。もっとも、CDの音声に余分な日本語(親見出し)が多すぎるとは思うが。


さて、この2冊をどのくらいの期間で征服するか。目次を見ると分かるように、前者は30日分、後者は31日分に分割されている。従う必要はないとはいうものの、せっかくだからこれを目標にするのがよいと思う。

私の場合、ウォークマンのフォルダ内に「(1)今日の分」「(2)1週間前〜昨日の分」「(3)それ以前の分」といったサブフォルダを作成して、ファイルを整理している。こうすれば、反復したい単元だけを簡単にリピートできる。ファイルは毎日移動することになるが、パソコン上で移動してから、バックアップツールでウォークマンにコピーするようにすれば、大して手間はかからない。つないでいる間に充電もできる。

なお、ファイル名はトラック番号のままよりも単元名に変更した方が、再生するときに内容が分かって使いやすい。計346ファイルも変名するとたっぷり数時間かかるが、内容構成を確認することにもつながるので、音楽でも聴きながら作業しておきたい。使う分から少しずつやってもよい。


蛇足1
上に「クイックリスポンス」と書いたが、せっかくCDが付いているのだから、まずは完璧にシャドーイングできることを目指すのがよいだろう。そのためには、あらかじめ「耳で聴いただけで分かる」ようにしておくことが大切である。言うまでもないことだとは思うが、これをやっておかないと、いくら反復してもほとんど頭に残らないことになるので、一応念のため…。

蛇足2
前者の巻末に後者の広告が載っているのだが、なぜかそこには「CD枚に日本語英語両方収録」と書かれている。もちろんベレさんのミス。

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2010年10月31日

『よくわかる 英語の基本 ― 基本文型・文と文の結びつき ―』

これから年末までの2ヶ月間を使って徹底攻略するのによい教材はないか……そう思って某大書店に行ったところ、高校向け学参のコーナーで発見した。

出版元はアノ開拓社であり、どういうわけか同社の出版部長が直々に編集を担当しているようである(奥付に書かれている)。

肝心の内容であるが、大まかな目次が同書案内ページに載っているので、それを表の形でお目に掛けたい。

第1部
 基本8文型とその変形
 〜単語と単語の結びつき〜
第1章
 平叙文
1 名詞と動詞
2 形容詞
3 副詞
4 前置詞
5 間投詞
6 品詞に関する補足
7 第1章で扱った平叙文の
  全体像と例文
第2章
 疑問文
1 真偽疑問文
2 選択疑問文
3 疑問詞疑問文
4 付加疑問文
第3章
 感嘆文
第4章
 命令文
第5章
 肯定文と否定文
第2部
 接続詞
 〜文と文の結びつき〜 
第1章
 等位接続詞
第2章
 従位接続詞
1 名詞節を形成する
  従位接続詞(A)
2 形容詞節を形成する
  従位接続詞
3 副詞節[動詞修飾語]を形成する
  従位接続詞(A)
4 副詞節[形容詞修飾語]を形成する
  従位接続詞(B)
5 名詞節を形成する
  従位接続詞(B)
6 副詞節を形成する
  従位接続詞(C)
7 従位接続詞〔関係代名詞〕のas
8 従位接続詞の構文
第3章
 等位接続詞と従位接続詞の比較
第3部
 準動詞句
 〜従属節の収縮〜 
第1章
 準動詞句
1 名詞句
2 形容詞句
3 副詞句
4 第5文型〔SVOC〕のC
5 形容詞で始まる
  名詞修飾語と動詞修飾語
6 準動詞句の構文
第2章
 準動詞句の主体
1 文の主語との関係
2 主体を示す語句の付加
第3章
 準動詞句の時制
1 述語動詞との関係
2 助動詞が存在する文の
  準動詞句化
第4章
 準動詞句の始点と終点

目次を見れば一目瞭然なように、全体的な構成は私が新著でやろうとしていたこととソックリである。一方、内容的には私が構想していたよりもはるかに詳しい説明が含まれている。構成はよく練られているので、目次を活用することで容易に鳥瞰が得られるであろう(逆に、目次が活用できない人には真の価値が伝わらないかもしれない)。あちこちに掲げられている図表も内容理解を促進してくれるはずである。

私は以前、「文法書は最初の部分が命」と書いたことがあるが、その「最初の部分」を詳しく解説した感じのものである(それは私の新著のモチーフでもあった)。

というわけなので、「αプラス 入試突破」という枕詞にもかかわらず、英文のしくみに関して今ひとつ統一的な理解ができていない方全員にお勧めすることができる。例文が収められたCD(約67分)が付属している。

この本が出たおかげで(せいで?)私の新著は執筆不要になってしまったが、それでも既刊の2冊(『英文構造図 改訂版』『例文学習の三段階』)を併用すると学習効率が更に高まるのではないかと密かに思っている。関心を持たれた方は是非リンク先をご覧頂きたい。

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2010年10月27日

『英語のかけ込み寺』三部作

3冊で700ページを超える本格的教材。全体構成は次のようになっている。

1冊目「単語をうまく使う」(計48単元、各13題)
序章 国際英語と和式英語
第1章 名詞の使い方
第2章 動詞の使い方
第3章 助動詞の使い方
第4章 形容詞の使い方
第5章 副詞の使い方
第6章 前置詞の使い方
第7章 接続詞の使い方

2冊目「簡潔な文をつくる」(計21単元、各21題)
第1章 S+V
第2章 S+V+C
第3章 S+C+O
第4章 S+V+O+O
第5章 S+V+O+C

3冊目「国際英語の仲間入り」(計35単元、各13題)
第1章 名詞節
 第1節 thatが導く名詞節
 第2節 疑問詞が導く名詞節
 第3節 ifとwhetherが導く名詞節
第2章 形容詞節
第3章 副詞節
第4章 条件文
第5章 比較文

私が新著のために構想しているものと共通した部分が多い。特に、2冊目の全体が5文型に当てられているのが目を引く。もっとも、準動詞については独立した単元がなぜか存在しない。

しかし何よりも重要なのは、「国際英語」の習得を正面に掲げていることだろうと思う。そのキモは「〈英語の思考・発想〉を身につける」ことである。

文法項目別に集められた例文というのは往々にして形式面にばかり目が向きがちであるが、このシリーズの場合はそうではない。例えば、5文型の最初である「S+V」の1問目は次のようになっている。

つぎの状況を「S+V」で決めてください。
【問題】
君のレポートはよく書けている。

全体としては「文法的体系にもとづいてシッカリとした作文力を構築するための教材」であると言える。しかし、単に文法に詳しいだけでは絶対に書けないような作りとなっているあたりに著者の実力が伺えると思う。

問題(例文)数は3冊で1520本に及び、それら(英文のみ)は全て付属CDに収録されている。作文力養成のための本格的教材を求める人に是非オススメしたい。

posted by 物好鬼 at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 個別の教材について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする