記事によると、「学生時代(小中高大)に習った教科で今の仕事にまったく役に立っていないと思うものは?」という質問に対する回答が
第1位 数学……9.9%
同率第1位 英語……9.9%
第3位 理科……9.4%
第4位 歴史……7.9%
第5位 家庭科…6.9%
なのだという。(アンケート対象は男だけ。)
私に言わせると、「意外に少ないなあ」といったところ。
これは逆に考えてみればわかりやすい。そもそも、数学も英語も理科も(以下略)ぜーんぶ必要とされるような職場なんて、滅多にないはずだ。
(ちなみに私の職場では、ごくまれに英文メールを書かされるくらい。あとは四則演算。理科の知識は機会があれば使うが、使えなくても仕事自体はできる。)
だから、どの科目についても「そんなの使わないよ」という人はもっと多くいても不思議はない。なのに数学や英語でさえ「まったく役に立っていない」が1割を切っているのなら、何の問題もないのではないか?
(ところでこのアンケート、複数回答は可能だったのかしらん?)
さて、数学的な領域について言うと、私の職場で必要とされるのは四則演算程度だが、だからと言ってそれ以上の勉強が無意味だったとは私は思っていない。
もし「実社会では四則演算以外はほとんど必要ないから」という理由で四則演算しか学ばないとしたら、その人にとってはその「四則演算」が数学的能力の上限ということになってしまう。しかし、「微分積分も行列もできるくらいにやっていればこそ、四則演算は苦にならなくなる」という面があることは否定できないのではないか。問題解決に必要なものは単純な知識だけではないから、本人も気付いてない部分が役に立っていることは大いにありうる。それに、私の周囲を見る限り、数学が苦手な人は四則演算の活用すらあまり上手ではないという印象がある。
これを少し皮肉っぽく言い直すなら、直接的には不要と思われるレベルのことを学んでおくことが実は必要(少なくとも有用)なのだということだ。(これは語学の場合で言うと、話す能力と読む能力との関係に似ている。)
なお、記事の末尾にある
「学生時代に何日も徹夜して覚えたことが、社会で全く意味をなさない……なんて、あの当時は思いもよらなかったですよね。ただ覚えたことはどこかで自分の役に立ち、自分の基礎を作ってくれているはず。そう信じておくしかない!?」
という「まとめ」はあまりにシンプルすぎると思う。学生時代にある程度以上まじめに勉強した人なら、後半の「どこかで自分の役に立ち云々」に関しても具体的なことがいろいろ書けるのではないだろうか。ということは…(笑)。
蛇足)20年近く前のことだが、理工系の大学教授が書いた文章を仕事で扱ったときには、内容の正確さをチェックするために化学命名法や SI 単位系について勉強したことがあった。誰かに頼まれたわけではなく自発的にやったのだが、こういうことがスムーズにできたのは、高校・浪人時代に物理と化学を勉強していたおかげ。
なお、関連記事として、「学校の勉強は役に立たない?」がある。