アンケートの内容というのは、その人たちの身長と体重。その団体の担当者は、集めた数値全部を1枚のグラフ用紙にプロットした。すると、身長と体重の間にそれなりの相関関係があることが見えてきた。
そこでこの団体は、「身長がわかればおよその体重がわかりますし、体重がわかればおよその身長がわかります」という能書きとともに、このグラフを公表した。
さて、ここに小柄な男がいる。仮にA君と呼ぶことにする。かねてから背が高くなりたいと思っていたA君は、このグラフを見ながら考えた。
「今のオレは160cmで55kg。だいたい線上に乗っているな。で、このグラフによると、180cmの人は75kgくらいなのか。っつーことは、20kg増やせばいいんだな!」
それからのA君は連日連夜大量のスイーツを食べた。体重は3日に1kgのペースで増えていった。あまりに順調すぎて、体重計に乗るのがこの上なく楽しかった。
そして2ヵ月が経過。体重は20kg増えた。A君は自身に向かって力強く語りかけた。
「よ〜し、よくやったぞ! これで目標の体重だ。じゃあ、身長を測ってみようか」
(測る)
「あれれ、変わってないゾー! あのグラフは嘘なのか? 許せん!」
閑話休題。
TOEIC 公式サイトの「よくある質問 TOEICテストについて」というページには
…TOEICテストの開発にあたったETSでは、TOEICテスト実施にあたって予めListeningとSpeaking、ReadingとWritingとの相関関係について検証し、それぞれが非常に高い相関関係を示すことから、ListeningとReadingのみの試験からSpeakingとWriting能力を含めた英語能力が測定できることを統計的に証明しています。そのため、TOEICテストはListeningとReadingのみで構成されています。と(今でも)書かれているのだが、そのすぐ後には
しかしながら、英語の利用が職場や日常生活の場でますます拡大していること、それに伴いSpeakingとWritingという能力を直接的に測定したいという要望に応じて、TOEIC(R)スピーキングテスト/ライティングテストがスタートしました。と書き加えられている。
先のたとえ話から考えると、LRプロパーな対策をする受験生が増えたことが原因でSWとの間の相関が弱くなってしまったのだろうと想像できる。(あくまでも想像だが…。)
さて、ここで種田輝豊『20ヵ国語ペラペラ』(初版1969、改訂版1973)を開いてみる。改訂版のp.161には次のような金言が書かれている。
望まれる、片寄りのしない勉強方法──これは結局、読解力と作文力の間の実力の差ができるだけ小さくなるような方法で勉強することである。現在は当時よりも音声機器が発達している関係で「聴解力」が「読解力」に準ずる地位に来ているものの、基本的な考え方はまったく変わらないと言える。何という先見の明だろうか! 以上を端的にまとめるならば(最終的には各人の目標次第だが)、
読解力の養成は、読み・書き・話・聞きの四つの中でも、もっとも進歩が速い。作文力は、書きと話の母体である。作文力がないのに会話ばかり練習していると、何年たってもブロークンしか話せないのもあたりまえのことである。というのは、作文力こそ、正確な文法的知識に立脚するものだからである。
ヒヤリングには、世間でさわがれているほど力を入れる必要はない。
スイーツの食べすぎには要注意!
ということになる(違)。