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2016年02月21日

正確に覚えつつ、変化も試みよう

今回読んだのは「Japanese Twitter User Finally Finds Use For “Most Useless English Sentence”」という記事。半分ネタなのは承知しつつ…。

教科書で学んだのが This is a pen. という文だったとして、その文をそのままの形で使うことはもちろんかまわない。それは「学んだ文を使う」の典型例と言える。リンク先の例がそうだ。

しかし、「学んだ文を使う」とはそれだけなのか? たとえば、先の文をもとに

 ・平叙文を疑問文にする
 ・a pen を a dog に置き換える
 ・修飾語として really を付ける

という変化を施して

 Is this really a dog?
(It looks like a mop!)

という発言をすることも「学んだ文を使う」ことなのではないか。
(これがどんな状況なのか想像できない人は「コモンドール」でググるべし。)
 
ここまでは前振り。

しばらく前に Facebook 上の某グループで一人の高校生から「1冊のテキストを100回近く音読しているのに、初めての素材ではリスニングがうまくいかない」という相談があった。そして

私「音読素材の文構造や語句などはしっかり理解しているか?」
彼「かなり意識していて自信がある」
私「リスニング素材のスクリプトはスラスラ読んで理解できるか?」
彼「音読だと理解度は半分以下」

というやりとりになった。そんな相談者に対して私は次のような提案をした。
 
まだ詳細がわからないので明確なことは言えないのですが、文の構造を自力で変化させる訓練はしてますか? あまりしてないのであれば、試してみてください。

たとえば教材の中に

Can the rumor be true?

という文(今し方、手元の文法書で見つけました)が出てきたとして、それを

The rumor is true.
Is the rumor true?
The rumor isn't true.
Isn't the rumor true?

The rumor was true.
Was the rumor true?
The rumor wasn't true.
Wasn't the rumor true?

The rumor can be true.
Can the rumor be true?
The rumor can't be true.
Can't the rumor be true?

I think the rumor can be true.
Do you think the rumor can be true?
I don't think the rumor can be true.
Don't you think the rumor can be true?

のように変化させてみます。最初は紙の上でやってかまいませんが、慣れてきたら何も見ずにやるようにします。

こういう変化についての訓練(必ずしも上記のようなドリルである必要はありませんが)を日頃からやっておかないと、反復した素材と違うかたちのものにイキナリ出会ったときにはスムーズに対応するのは難しいだろうと思います。
 
私が提案したのは「転換」と呼ばれるドリルだが、語句の「置換」についても同様のことが言える。また、音読中心に学んでいる場合、音声面の正確さに問題がある可能性もありうる。

さて、私が上で「変化についての訓練」と呼んだものを学習の中に取り入れておけば、少量の素材を最大限に活かすことにもつながるだろう。しかし、学んだことをそのままの形で反復するばかりでは、大量の素材を完全に覚えてもそれほど役立てられない可能性が高い。それは見えない壁として学習者や指導者の前に立ちはだかる。
 
「学んだことを使えるようになるには」は古くて新しい問題で、武道においては「形(かた)は実戦に役立つか」といったかたちで現在も問われ続けている。数学や物理でも、あるいはおそらく(私はよく知らないが)芸術的な分野にも同様の問題はあるだろう。もっとも、英語などの場合は、文法の助けが得られるという長所があるのは紛れもない事実だ。

なお、英語や武道を自分のペースで使ってみる機会に恵まれている人の場合、その自発的な試行錯誤の積み重ねが変化の能力を育ててくれるから、上のような問題は比較的起こりにくいだろう。それだけに、そういうかたちで上達した人がそうでない人を指導する際には注意が必要だとも言える。

今回のタイトルは「正確に覚えつつ、変化も試みよう」としてみた。@正確に覚えることとA変化の能力を付けることのうちどちらがヨリ大切かというと、それは各人の学習の目的によって違ってくる。ただ、Aを急ぎすぎると往々にして@を犠牲にしてしまうということは否定できないから、@の進捗を自らの必要性との関係で評価しながらAを徐々に進めていく、という方法がよいだろう。

posted by 物好鬼 at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 学習一般について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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