文科省のサイトにはまだ載ってないようだが、上の記事を読む限り、
4技能試験の結果、高3なのに中卒レベルの人が多いとわかった。
Sで89.0%、Wで82.1%、Lで73.6%、Rで68.0%。
前回よりは改善しているが、依然としてよくない。
で、
「文科省は引き続き、コミュニケーションの向上などに課題があるとしている」
と言っている。
しかし、4技能の試験結果が悪いからと言って、その原因が4技能そのものの能力不足であるとは限らないだろう。ましてコミュニケーション??? 点数が伸び悩んでいる理由は、各技能に対するもの以外にもいろいろ考えられる。たとえば
・語彙力が不足している
・文法力が不足している
・スピードに対する慣れが不足している
・英文の内容についていけない
・日本語の問題文が読めていない
・長時間の試験に耐える精神力がない
などなどだ。おそらく上記の全部が大なり小なり関連しているだろう。
※「英文の内容についていけない」については、テスト全体を(内容はそのままで)日本語に置き換えてテストしてみることで明確になるはずだ。
中3対象の試験も散々だったことからすると、中学段階で躓いている生徒が少なくないのは間違いない。もちろん、試験だけでは測れないものがありうる点にも注意が必要だ(コミュニケーションとやらもここに属するような…)。
いずれにしても、応用志向であればあるほど基礎力の重要性が高くなることは上達論の基本であるはず。英語教育に限らず数学などでも同様だが、そういう基礎的な認識の重要性はいくら強調してもしすぎることはないだろう。「教育専門家」とされる人たちについてはなおさらだ。
ところで、だ。
半世紀ほど前、日本は体操王国と呼ばれた。そしてライバルだったソビエトは基本を重視する姿勢を日本から盗んだ。一方の日本はというと、モントリオール五輪(1976)で5連覇を達成した頃から高難度の技にばかりに目を向けた結果、「着地の乱れが当たり前の状態」となり、長期にわたって低迷する。
日本体操界はシドニー五輪(2000)惨敗を機に大改革に着手する。その背後で、日本の一部若手選手はアンドリアノフ氏(かつてのソビエトの雄)らから基本重視の指導を受けることで、正確な技をシッカリと身に付けていた。そうしてアテネ五輪(2004)では日本男子が団体優勝を果たした…。
参考)http://plaza.rakuten.co.jp/hydrange/diary/200408180000/
高難度の技云々のくだりが現在の英語教育論議に似ていないこともない。決定的に違うのは、日本には「英語王国」としての過去がないことだろうか。基本の重要性は「同時通訳の神様」こと國弘正雄氏も主著の中で力説していることであるが、そういったことを抜きにして夢ばかり追っているとロクなことはないと思う。