この『やさしい英語で「不思議の国のアリス」を読もう』は彼女の最新作で、初のリーディング本ということになる(他の著作については後述)。
本文は原作そのもの(それは古くて難しいのだそうだ)ではなく、クリストファー・ベルトン氏(『知識と教養の英会話』など多数の著書がある)によってリライトされたものだ。とはいえ、スラスラと読みこなせるには「高校で英語が比較的得意だった」という程度の力は必要だろう。総単語数は13,000語程度で、本文に対応する104分ほどの音声データ(MP3)が CD-ROM として添付されているので、私はパソコンとウォークマンに入れて使用している。ナレーションを担当しているのはレイチェル・ワルザーさん(安河内さんのラノベシリーズなど多数の実績がある)。さまざまなキャラクターの声を瞬時に使い分ける芸はなかなかのものだと思う。
本書を手にとって最初に目に付くのは、全256ページがフルカラーであること。イメージを抱きやすいようにたくさんのイラスト(もちろんカラー)が付されているし、制作にはかなりの手間暇がかかっているはずだ。これで本体価格1800円というのは、それなりの売れ行きが見込めると版元が考えていることを意味する。これまでの著作の「丁寧さ」が実を結んだのだと私は理解している。
肝心の中味だが、「はじめに」で本書の3つの特徴を紹介したあと、「たのしい多読の世界へようこそ」として、多読学習の具体的な方法について解説している。特に多読ノートの実例はわかりやすく、多くの学習者の参考になると思う。私にとっては、黙読の重要性および私自身の実践不足を痛感させられたことが、最も大きな収穫だった。
本体部分は12章に分かれていて、章ごとに「英文のページ→和訳のページ」という構成になっている。英文のページは、読みやすい本文の下に簡単な語注がある(一部のページはイラストのみ)。もっとも、「簡単な語注」といいつつもところどころに気の利いたコメントが付されていて、何度か感心させられた。ただし、一部の語句については発音記号(ものによってはアクセントの指示だけでも)があればよかったと個人的には思う。
さて、今回のワークショップ参加への準備として、まずは全体を1回音読し、その後は1〜3章を中心に音読を繰り返した(音声は1〜3章を1回聴いただけ)。最近の私は少し音読をサボり気味で口が鈍っていたが、1冊分+αの音読でかなり調子が戻ったと思う。ワークショップの中でそれを披露する機会はなかったが、終了後のカラオケでは密かに役立ったと勝手に思っている(笑)。
また、他の参加者からある学習法について質問が出たとき、著者が「極端な考え方というのは間違っていることが多いので気を付けてくださいね」という意味のことを言っていたのが非常に印象に残っている。私自身もかねてから考えていたことであり、この著者は信用できると思った。その他のいくつかの論点についても、率直に意見を交換することができた。
ところで、今回のワークショップはリーディングに関するもの(それも初心者向け)だったのだが、私にとっての最大の課題はスピーキングだ。毎月参加している紘道館「例会」ではビリに近い実力しかないのだから、スピーキング力の向上こそが喫緊の課題と言える。しかし、その例会というのは、玉砕して恥をかく場としては優れているものの、基礎的な訓練をする場としてはほとんど使えない。
ちなみに、この著者の著作のうち最初に刊行された『Sally 先生のバイリンガル英会話学習法』は英語学習全般を扱ったものだが、その後の『英語で手帳にちょこっと日記を書こう』『英語で手帳を書こう』『英語でショート・スピーチ』は発信志向の著作であり、今回の「アリス本」は初めてのリーディング本ということになる。
それらの中では現在の私にとって最も有用そうなのは『英語でショート・スピーチ』だろう。これは大学向けの教科書ということで書店では売られていないそうだが、Amazon では他の本と同様に購入できる(別売の CD は営業部に直接注文しなくてはならない)。今後は同書なども参考にしつつ、スピーキング力を高めるための実践をしていきたい。
最後に。
今回は、ワークショップ本体および食事・カラオケで非常に楽しく有意義な時間を過ごすことができた。他の参加者も皆さんいい人たちばかりだったし、著者(普段は文字のやりとりしかしていない)からも多くの刺激を得ることができた。この機会を無駄にしないよう、特に「英語は勉強だと思ったことがない」というマインド(?)は最大限マネさせてもらいつつ、明日から(今日から?)英語の勉強に邁進したいと思う。
また、ブログも拝読させて戴きました。
次回また、お会い出来ることを楽しみしております。
部活もタイミングが合えば、参加したと思います。
阪本広之
またの機会を私も楽しみにしています。
今後ともよろしくお願いします。