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2013年06月08日

辰巳『「日本人は外国語が苦手」は本当か』



先月出たばかりの本。著者は言語学とか英語学の人ではない。現役時代は発電所のエンジニアで、若い頃の英語学習には失敗したが、定年後に独学した中国語では短期間で成果を上げたという人(日本語講師でもある)。

自らが開発した方法に関してこの著者は

エンジニアとして、私は在職中ずっと「理論と実践」を座右の銘としてきた。結局、語学にも理論と実践を極めたかったのである。

と書いている(p.6)のだが、この気持ちは私にもよくわかる。

肝心の内容だが、冒頭部分では言語に関連する脳の話から始まる。よく知られている内容ではあるが、それを「会話に必要な全経路」として提示しているところが特徴と言える。

蛇足だが、この「全経路」は私が「言語における技の過程的構造」と呼んでいるものとそっくり同じと言ってよい。あまりにも似ているので驚いたほどだ。

その後は英語教授法の歴史に触れ、さらに「練習にどれだけの範囲の神経回路を使うか、練習時間はどうか」を基準としてそれぞれの方法を数値によって比較評価していく。数値による比較評価というのは考えたことがなかったので、非常に参考になった。と同時に、自分の考えにも自信を持つことができた。

結論として本書で提唱されている方法というのは、決して新しいものではない。誰でも知っているようなものだし、かなりシンプルだ。ただ、それがなぜ効果的であるのかを「全経路」から照らして見せているところに本書の最大の特徴がある。納得ができれば継続もしやすいのだから、これは決してバカにはならない。

本書はあくまでも学び方に関する本であり、記憶や練習のための素材は一切含まれていない。読みやすく書かれているので、第二言語習得論などに手を付ける前に読むのにも適しているが、英語の学習だけならこの本1冊で充分であろう。本当に難しいのは、「独習の場合は本を1冊しゃぶりつくすことから始める」(p.106)ことの方だと思う。

なお、著者が経験しているのは主に英語・中国語・日本語の学習であるから、活用変化が激しい言語を学ぶ際には文法ドリルの比率を増やすなどの工夫が必要であろう点は指摘しておきたい。



posted by 物好鬼 at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 語学の本質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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