まず「本編」は幻の名著『コンプリート高校英語構文』の「復刊」「再現」となっている。この言い回しからすると、内容は旧著のままということなのだろう。少なくとも、加筆・修正されたとはどこにも書かれていない。
一方の「補遺」は新たに追加されたもので、10の単元からなる100ページ近い文章。1 は「英文読解の根本的な考え方」、2〜9 は「主要な構文の要点と解説」、そして10は「その他」となっていて、この部分だけでも本書を購入する意味がある。
さらに、最後にある「あとがき」もかなり長い。こちらは著者の半生を記したものだが、予備校英語の歴史に馴染みのある人にとっては興味深いのではないだろうか。
さて、肝心の「本編」だが、その特徴はいくつかあると思う。
まず形式面としては、
・字が大きめ(判が大きいから当然だが)
・例文が EXAMPLES としてまとめられている
といったところが個人的にはありがたい(どちらも同じ著者による『総合英文読解ゼミ』とは対照的)。これら2つの特徴ゆえに、音読素材としても使いやすいものになっているからだ。
一方の内容面としては、やはりその体系性に触れるべきであろう。全体として
・PART 1:単文(SVOCM、助動詞、準動詞、前置詞句)
・PART 2:複文のうち名詞節を含む文
・PART 3:複文のうち形容詞節・副詞節を含む文(比較も)
・PART 4:関係詞の継続用法、重文
・PART 5:倒置、同格・挿入、共通関係・省略
という構成になっていて、さらに150の単元に分けて詳細な解説がなされている。なお、『総合英文読解ゼミ』ではなぜか受動態が抜けていたが、こちらには収録されている。
本書の内容・体系は拙著『英文構造図』三部作との親和性も非常に高く、両者を併用・併読することでヨリ正確な理解が得られるものと思う。私自身も拙著をよりよいものにするために、この『英語構文全解説』を酷使していきたいと考えている。学んだ内容については今後もこのブログで継続的に取り上げていく予定である。
蛇足だが、本書はA5判上製696ページで定価2,625円であり、本格的な教材なのにかなり敷居が低い。本書の刊行が、より多くの人が英文構造について学ぶキッカケになればと思う。