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2012年11月27日

発音検定を受けてきた

※予備知識として、「発音検定受験に向けて」を(まだの方は)お読みいただきたい。

昨日(2012年11月25日)、第4回 国際英語発音検定を受験した。よい機会なので、準備から本番までで感じたこと・考えたことを書き連ねてみたい。


■準備段階

上記リンクの記事にも書いているが、現在の視点で書き直してみる。

本番で問われる課題は次の4つである。
 (1) 簡単な応答
 (2) アルファベット
 (3) 初見での音読
 (4) 「The Selfish Giant」の音読

まず (1) であるが、これは特別な知識を要求されるものではない(中1レベルで足りる)ので、ほとんど対策はしていない。おそらくは (3) に対応できる力があれば充分であろう。ただ、一番最初の課題であるため、ぎこちなくならないようにウォーミングアップ程度のことはやった。

(2) については、発音記号を参照し、音声の確認をした。なお、音声そのものについては次に示す3冊の教材を使用した。もちろんこれは (1) (3) (4) の基礎にもなっている。

 『日本人のための英語発音完全教本』(ここも参照)
 『脱・日本語なまり―英語(+α)実践音声学』』(ここも参照)
 『ルミナス英和辞典 第2版 つづり字と発音解説』

(3) と (4) については逆の順序で述べる。

(4) の課題は「The Selfish Giant」であるが、ネットで探してみたところでは、アメリカ英語の音声が見つからなかった。イギリス英語のものはいくつかあったが、私の選択には合わないので、参考のために1〜2度聞くにとどめた。

直接のお手本がない以上、別の素材を参照して応用するしかないことになる。しかし、実際の会話などにおいては「直接のお手本」など存在しないのだということを考えると、検定においても直接のお手本はない方がよいとすら言えるであろう。

さて、「別の素材」として私が使用したのは

 『マイストーリー100』

であった。これは100のテーマについて平均25秒程度のパラグラフが3つずつ(計300本)掲載されている。ナレーターは男女1名ずつ(いずれもアメリカ人であろう)。録音はもちろんナチュラルスピードであり、お手本として使いやすいクリアな音声となっている(この種の教材としては当然であるが)。

私はこの教材の最初の1本(20秒くらい)を1000回以上聴き、300回以上音読した。その後は機会あるごとに暗唱して到達度を高めるようにした。特に1000回以上に及ぶ反聴は予想以上に効果的で、これまでにないくらい細かい部分に意識を向けることができるようになった。

この素材での到達度を仮にX%とすれば、他の素材での到達度はX%よりも低いであろうし、準備ができないものほど低い結果になるであろう。つまり、この「X%」というのは、私の音声的正確さの上限を示すものである。それだけに、この素材での反復にはかなりこだわった。

そういった反復のおかげで、この素材に関しては(直観的な自己採点だが)98%くらいの出来まで到達できたと考えている。次なる問題は、他の素材への応用である。

応用にあたっては、基本的なルールを理解することが役に立つ。どのような場合にどこを 強く/弱く、高く/低く、長く/短く、あるいはどんな音で 読むのか、といったことについて、あまり些末にならない程度の基礎知識を仕入れておく。これは昔からやっていたことではあるが、今回は上記の発音教材で再確認&補充をした。認識を改めた部分もあったように思う。

とは言え、解説書で得られるような(宣言的)知識だけでは実際の役には立たない。大事なのはそのルールをシッカリと体で覚えるとともに、本で得た知識と統合することである。

その要領は拙著『英文構造図 V』にも記しているが、今回はそれよりもはるかに回数を増やして実施した。主たる応用先はもちろん「The Selfish Giant」である。

ところで、書かれたものを音声化していくとき、そこには「頭の働き」と「口の動き」という互いに区別されるべき2つの段階が存在する。

まず「頭の働き」は、文中に存在する個々の語の個々のシラブルについて、それをどんな音として発するかを判断するプロセスである。これには正確さはもちろん、速さも要求される。例えば、馴染みの薄い単語や構文が含まれている場合にどうなるかをイメージすれば、速さの重要性が理解できるであろう。もしこの段階でもたついたら、下流工程である「口の動き」にしわ寄せが行ってしまうことになる。つまり、「頭の動き」はできるだけスムーズにしておいた方がよい。

その対策として私が行ったのは、「できるだけ速く読む」ということである。「The Selfish Giant」(1669語)にある程度慣れた時点で計測してみたところ、8分29秒(509秒)で通読することができた。分速200語弱ということになる。かつて他の素材で分速300語まで到達したことがある私としては、これももっとスピードアップできるかなとも思ったが、「発音検定」対策としてはスピードよりも正確さが優先されるべきであると考えて、これ以上の追求はしなかった。

もう一つの「口の動き」については特別なことはない。お手本とした素材(『マイストーリー100』の最初の2パラグラフ)と同じ感覚で読めるように何度も反復しただけである。

ただし、この「同じ感覚で」というのは、「頭の働き」+「口の動き」というプロセスの中で特に重要なポイントである。そのため私は、上記「お手本」がかなり正確に模倣できるようになるまでは、「The Selfish Giant」の音読は差し控えていた。正しい音のイメージなしに音読をすることによって中途半端な発音が定着することは、できるかぎり(もちろん「完全」がありえないのはわかっているが)避けたかったのだ。

また、アクセントやイントネーションを的確に推測するために、文脈と文構造にはとりわけ注意した。

なお、課題文の音読を始めるにあたって、私は全文を大きめの字で印刷したものを用意した。最初は読みやすい方がスムーズにいくからである。それをしばらく続けてから、小さい字のものに移った。

(3) については、(4) のプロセスの応用である。ただし、準備時間が直前の30秒しかないため、短時間で対応できるように頭を慣らしておく必要がある。そこで上記『マイストーリー100』の残りの部分を音読することでリハーサルとした。


■手続き

基本的には国際発音検定協会のサイトに書かれているとおりであるが、私の場合は車の免許を持っていないため、写真付き身分証明書をどうするかが問題であった。パスポートは10年以上前に(実は TOEIC 受験のために)取得していたが、すでに期限切れになっている。さりとて受験のためだけに取得しなおすのはお金がもったいないと思った。そこで協会サイドに相談したところ、写真付きの住基カードでよいということがわかった。

そこで、決められたサイズの写真を持って窓口に行った。簡単な書類を提出すると2〜3日後に書類が届くので、それを持って再度窓口に行く。身分を証明するものとしては、健康保険証と銀行のカード(名前が分かればよい)を利用した。手数料は500円のみであった(写真の方が高く付いた)。


■当日の様子

・到着まで

私が会場に到着すべき時刻は12:30。私の家からは乗り換えなしで行ける場所であるため11:30に出発しても充分間に合うと思われたが、昼食のことも考えて少し早めの10:30頃に家を出た。しかし、数分後に最寄りの駅に到着したところ、何と人身事故の影響で折り返し運転をしている最中であった。つまり、乗り換えなしでは行けない状態になっていた。早めの出発という自らの選択に感謝しつつルートを変更し、最後は1駅分ほど歩くことにした。

現地の状況についてはあらかじめストリートビューで確認してはいたのだが、さすがの私(地図は読める)ももう少しでビルの前を通り過ぎそうになってしまった。協会からの案内メールには住所もビル名も書かれていたものの、ビルの外見がガチャガチャしているせいで肝心のビル名が読みにくくなっていたのである。せめてビルの1階に何があるかが案内メールに書いてあればもっと見つかりやすかったのではないかと思われた。実際、受験者の中には、まさにこれが原因で遅刻しそうになった人もいた。

・本番まで

まだ少し時間があったので、同じビルの1階にあるコンビニで腹ごしらえをして、12:00頃に会場のある6階に向かった。

相前後して協会の人も到着し、会場準備が始まった。私は課題文を読みながら時間をつぶした。そうこうしているうちに何人かの受験生が到着。その中には Twitter 等でつながっている人も複数いた。

集まりがよかったこともあり、予定の12:30よりも10分くらい早くスタートすることとなった。ちなみにトップバッターは私であった。12:30スタート組の中で会場到着が一番早かったからというのがその理由である。

・本番

部屋に入るとテーブルをはさんで担当者(?)と向かい合う。テーブルには録音用の機械があり、簡単な説明の後にスイッチオン。試験の手順は協会HPに書かれているとおりであったが、その場で簡単な説明があった。

テーブル上には課題が書かれた紙が置かれており、その表側の上半分には簡単な疑問文が(たしか)5つ並んでいた。それに対する回答を口頭で行うのが最初の課題。続いてアルファベットを順に言う。これが2つ目の課題で、私は一つずつ丁寧に進めた。ここで一区切り。

紙を裏返すと、上に「初見」用の素材(3つ目の課題)、その下に課題文「The Selfish Giant」の一部(4つ目の課題)が、それぞれ読みやすい大きさの字で印刷されている。録音がスタートすると「初見」の方を30秒ほどで確認して音読、そのまま続けて課題文も音読。

試験はこれでおしまい。担当者さんも緊張していたに違いないのだが、何の問題もなくスムーズに進んだ。あっけないくらいであった。

・そして

肝心の「出来」であるが、幸いなことに回答・音読に差し支えるほどの緊張はしなかったので、だいたい実力通りにできたのではないかと思っている。「発音」の正確さを測定することに専念するためか、課題中には難しい語句や構文は含まれていなかったのだが、それも幸いしたように思う。

と書いてはみたものの、こういう推測(?)はまったくアテにならない。採点は専門家(3名だったか)によって行われ、その結果は約1ヶ月後に届くということなので、今はそれを待つしかない。特に「1級」はかなりシビアで、ネイティブまがいの発音でないと取れないらしい。となるとまったく予断を許さないわけであるが、その一方で専門家によるコメントが楽しみでもある。もし不本意な結果であれば、再受験する可能性が高い。

・その後

受験後はその場にいた人たちとお喋り、お食事 etc.となった。さまざまな角度から意見を交換することができ、とても勉強になった。
(蛇足だが、受験者たちは試験前も比較的リラックスしたムードで会話を楽しんでいた。これは本番直前にありがちな緊張をときほぐすのに役立ったのではないかと思う。このような場の雰囲気を作り維持することも、会場運営では大切なことであろう。)


■感想と改善案

この試験の中心はやはり「The Selfish Giant」なのであろう。これは時間を掛けて準備してくるわけであるから、そのことが持つメリットとデメリットの双方を考える必要がある。

まず、メリットとしては、受験者の「発音そのものの(最高)水準」を測ることができるという点が挙げられる。学習者サイドにとっても、具体的な課題があった方が勉強・練習しやすいであろう。

しかし、実際に英語で話すときには準備時間はないし、発音以外のことにもいろいろと頭を使わなくてはならない。そのような状況において発音面でどの程度の水準を維持できるか(いわば習熟度とでもいうべきもの)を測るには、準備を許された素材の音読だけでは不十分であるのも事実である。これがつまり、この試験方法のデメリットである。

そして、その「習熟度」を測定するために加えるべき負荷としては、(1) 話の内容、(2) 不慣れな単語・言い回しや文構造、さらに (3) 周囲の騒音・会話などなど、さまざまなものが考えられる。

現状はというと、課題1(簡単な応答)が (1) に(軽く)対応し、課題3(初見での音読)が (2) に(軽く)対応したものであると言えるだろう。しかし、実際に受験してみると、いずれの負荷もあまり大きくない(むしろ小さすぎる)という印象が残った。なお、(3) に属するような負荷は一切なかった(必須であるとは思わないが)。

このように、各種の負荷を含んだ課題を追加することにより、発音の実力を今よりもっと正確に測定することができると考えられる。このあたりが測定方法改善の手掛かりになるのではないだろうか。

いずれにしてもこの「発検」はまだ始まったばかりの試験であり、発展途上のものでもある。幸いなことに「発音」は「話す」「聴く」などに対してもプラスになることはあってもマイナスになることはないものであるから、今後さまざまな目的で利用されていく可能性がある。それだけに、これから短期間のうちに試験方法が改善され、さらに多くの人々に挑戦してもらえるような検定になってほしいと考えている。

※今回は採点基準の問題などには触れていない。それは結果を受け取ってから書きたいと考えている。




posted by 物好鬼 at 00:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 学習記録、日記、雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日はお疲れ様でした。私の拙いブログにおいで下さり、コメントや解説をありがとうございました。
大橋先生のおかげで、かなりリラックスした雰囲気になりました。
ありがとうございました。
Posted by 漆薔薇 ひばり at 2012年11月29日 20:43
いえいえ、どういたしまして。
何せ私はトップバッターでしたから、自分のが済んだ後は気楽なもんでした。
Posted by 物好鬼 at 2012年11月29日 21:00
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