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2006年09月30日

各種文法ドリルの統合?

 このブログでは拡大転換練習というのを紹介しているし、96型ドリル(長崎玄弥氏の)にもここで触れている。これらを知っている人の中には、例えばこの両者を統合したらもっと総合的なドリルになって、更に便利なものになるのではないか、などと考えたことがある人もいるのではないだろうか。

 もちろんそれは可能である。実際、すでにできているし、「改訂拡大転換練習」という名称でエントリーを立てるつもりでいた。しかし……、と今日になって思うに至った。

 両者を統合するとどうなるかというと、

 ・能動態/受動態
   ・非進行相/進行相
     ・非完了相/完了相
       ・現在/過去/未来
         ・転換練習の元となる文
         ・Sを軸に転換したもの
           ・肯定疑問中心/否定疑問中心
             ・Do(n't) you xxx?
             ・Yes, I do. I do xxx.
             ・Does(n't) he xxx?
             ・No, he doesn't. He doesn't xxx.
             ・Who does(n't) xxx?
             ・I do(n't) xxx.
         ・Vを軸に転換したもの
           (上と同様)
         ・O/C/Mを軸に転換したもの(その要素がある場合)
           (上と同様)

のような深〜い階層構造となる。これでどのくらいの組み合わせになるか、試しに計算してみると、仮に転換の軸が全部で5つ(例えばSVOCMが1つずつ)ある場合、最大で 2×2×2×3×(1+5×2×6)=1464 の文を言うことになる。
※Mは2つ以上共存しうるので、その場合は更に数が増える。また、要素の個数は同じでも、各要素に対していくらでも置換ができるので、それを一々試していくと、それこそ天文学的な数になってしまう(湯川氏はこれを「掛け算的組み合わせ論的爆発」と呼んでいる)。

 たった1つの文を元にしてソラで長時間(30分間ぶっ通しとか)の訓練ができるのは確かに便利かも知れない。しかし、はたしてこれは適切なやり方なのだろうか?

 このドリルで作られる文の中には、重要度の高いものと低いものとが混在している。その幅はかなり広い。にも関わらず、登場する頻度には差がない(ただし転換練習の性質上、回答としての平叙文にだけは反復がある)。しかし、重要なものにはそれ相応の時間と手間を割くのが合理的だろう。

 だから、ドリルとしては、ありとあらゆる組み合わせを満遍なく渡り歩くよりは、何らかの重点項目を設けた上で、それをシッカリ意識したかたちで行うほうがよい。要するに、転換練習と96型ドリルとは統合する必要はないし、むしろ、統合しないほうがヨリ合理的だということだ。

 もちろん包括的なドリルを否定する必要はない。やりたければ自由にやればよい。しかし、それは時折取り組む程度にして、ヨリ基本的な部分にヨリ多くの労力を投入するほうが確実だと思う。

 ところで、上記の問題(不当な均質化)が生じるのは主にどこなのかと考えてみると、それはこのドリルの外側の階層だということが分かる。これは96型ドリルに由来する部分である。つまり、96型ドリルが持っている「どの時制も同じ頻度で登場する」という性質にそもそもの原因があるわけだ。

 これを解決するには、「使用頻度の高い時制だけに絞ったドリルを併用する」という方法をとればよいし、実際、長崎氏自身の『英語スピーキング特訓ラップ』でもそれは紹介されている。実践家の知恵なのだろう。

 要は、むやみに統合するのではなく、むしろ逆に、バリエーションを活用することで差別化を図るほうがよいということだ。

 とは言うものの、上のような包括的方法にも意味がないわけではない。というのは、バリエーションを考える際の土台になる、という効能があるからである。その意味からは、バリエーションを考える前には包括的方法を(詳細が無理なら概要だけでもよいから)構想してみるべきであると言える。これはいわゆる「着眼大局、着手小局」というやつである(似た意味の英語表現に“Think globally, act locally”がある)。まあ、「無駄の効用」とも言えるだろうが。


posted by 物好鬼 at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 応用力を付ける | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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