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2006年08月20日

ボキャビルの秘策(ボツ)

 名付けて「6段組ノートを利用した4段階像形成&秒速過剰学習法」、略して「六四秒速学習法」
 (本エントリの成立にともない「単語記憶の方略」「単語記憶の方策・2」はボツとする。)

 まず一般論として、記憶一般レベルでは次の2つの問題を区別する必要がある。

  ・どのような像を形成するか
  ・その像をどうやって定着させるか

 市販されている記憶術の本などではこの両者が明確に区別されていないことが多いようだが、これは記憶の仕方について考える上で非常に重要な区別である。
 
 さて、第一の「どのような像を形成するか」であるが、「英単語=意味=訳語」のような3項(直列)結合型の記憶の場合、基本的に以下の6つの像に分けて考えることができる。

  ・左辺そのもの
  ・中辺そのもの
  ・右辺そのもの
  ・左辺と中辺の連結
  ・中辺と右辺の連結
  ・全体構造

 「そのもの」というのが分かりにくいかも知れないので説明しておく。例えば人の名前と顔を一致させる場合を考えていただきたい。顔に見覚えがある場合とそうでない場合とを比べると、当然のことながら顔に見覚えがある場合のほうが名前との結合はしやすい。これは英単語の場合も同様で、英単語そのものについて見覚え・聞き覚えがある状態を先に作っておいたほうが、意味との関連を記憶するときの負担が少なくなるのだ。訳語についても同様である。
 このことは、英単語学習の世界ではほとんど指摘されて来なかったが、「英単語そのもの」「意味そのもの」「訳語そのもの」を明確に意識することが実は効率的な記憶のポイントなのだ。この段階を甘く見ると、簡単なはずの記憶が難しいものとなってしまう。特に、見たこともないような単語を覚える場合には、「英単語そのもの」の像を形成することに充分な時間を割くべきである。
※単語を分野別に配列すると覚えやすくなるのは、単語の相互関係のおかげで、「意味そのもの」の把握がしやすくなるからである。

 ではどうするか? ズバリ、

  書かれていないものを何度も何度もシッカリと思い描き、自力で思い出せるようにする

である。
 もっとも、「書かれていないものを…」とは言っても、全く何も書かれていないのではやりづらい。そこで、簡単なヒントを置いて想起のための手掛かりとするとともに、「自力」の度合いを段階的に高めていくようにしよう。

 具体的には以下のようにする(ことにした)。

 まず、小さめのノートをたくさん用意する。携帯の便を考えるとあまり大きすぎないほうがよいが、あまり拘る必要はないであろう。私の場合は文庫本くらいの大きさの、1ページ12行のものを25冊ほど購入した(計3000円也)。

 最初のページは凡例などを書くことにして、次のページから本文とする。

 例えば、覚えたいリストが

nearsighted   近視の
negligent   怠慢な
renovate   修復する
indicate   指し示す
take a walk   散歩する

だとすると、それを買ってきたノートに

左ページ 右ページ
(日付)(日付)(日付とタイム...)
(日付とタイム...)(日付)(日付)
nea nearsighted 近視の ヒント ted
neg negligent 怠慢な ヒント ent
ren renovate 修復する ヒント ate
ind indicate 指し示す ヒント ate
tak take a walk 散歩する ヒント alk
      
      
      
      
      
      
      
『テキスト名』p.00備考等

のように整理する(各ページの分割比は1:1:2:2:1:1)。ただし、このようなノートを最初に作るわけではなく、学習の中で徐々にできあがっていくものだ。その手順はこのすぐ後に説明してある。
※記入欄が両ページで6列あるが、左から順に第1〜6列と呼ぶことにする。

 これでノートそのものの形態が理解いただけたと思う。次は使い方だ。

全体 (1) テキストを見て、内容を確認する。
英単語と訳語の双方を口に馴染むまで音読する。例文については音読だけでなく、リテンションも試みるとよい。
※この作業は、単語学習を他と切り離されたものとしないために行う。
一つひとつの語句の意味をよく理解する。ごく簡単な例文を自作して、気持ちを込めて言ってみるとよい。
改めて覚えるべきと思われる語句を選択する。
※その際には、その語句がその単語集において見出し語として扱われているか否かに拘りすぎないほうがよい。
(2) (1)で選んだ語句につき、英単語と訳語をそれぞれ第3列と第4列に転記する。
※できるだけ大きめの字で丁寧に書く。以下同じ。
※ここから先の作業はこのノート中心で行う。



訳語 (3) 第4列(訳語)を見て第1列に訳語先頭1文字を記入する。
記入しない部分の文字列を思い浮かべながら行うこと。
(4) 第1列(訳語先頭1文字)を見て訳語(=第4列)を想起する。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分(私の場合は12語)スラスラできるまでやる。
できたら第1列最上段余白に日付を記入する。
英単語1 (5) 第3列(英単語)を見て第2列に英単語先頭3文字を記入する。
※英単語自身が短い場合は、記入する文字列を1〜2文字にしてもよい。
記入しない部分の文字列を思い浮かべながら行うこと。
(6) 第2列(英単語先頭3文字)を見て英単語(=第3列)を想起する。
第1列は見えていても構わない。第3〜6列を隠す。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。
できたら第2列最上段余白に日付を記入する。
英単語2 (7) 第3列(英単語)を見て第6列に英単語末尾3文字を記入する。
※英単語自身が短い場合は、記入する文字列を1〜2文字にしてもよい。
記入しない部分の文字列を思い浮かべながら行うこと。
(8) 第6列(英単語末尾3文字)を見て英単語(=第3列)を想起する。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。
できたら第6列最上段余白に日付を記入する。
中間段階 (9) 第1列(訳語先頭1文字)と第2列(英単語先頭3文字)について交互に訳語(=第4列)と英単語(=第3列)を想起する。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。
(10) 第1列(訳語先頭1文字)と第6列(英単語末尾3文字)について交互に訳語(=第4列)と英単語(=第3列)を想起する。
ノートを半(1/4?)開きにすると、第1列と第6列を並べて見ることができる。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。


準備 (11) 第3列(英単語)と第4列(訳語)を見て、対応関係を確認する。
意味・音・文字を頭の中で重ね合わせる。
紐付けのためのヒントがあれば、第5列にメモしておく。
※第一に語源、第二に既知語(主にカタカナ語)との関連、第三に感覚的なもの、第四にコジツケ・語呂合わせの類。それでもうまくいかないものは直感的に覚えるしかないが、その気になればどんな語でも擬音語・擬態語であるかのように覚えることができるらしい(岡本浩一・種田輝豊・長崎玄弥ほか)。一度で覚えられないのは当然と考え、何度も何度も反復する。
英和 (12) 第1列(訳語先頭1文字)と第3列(英単語)を見て訳語(=第4列)を想起する。
訳語を想起する際には、その意味を丁寧にイメージすること。
第2列は見えていても構わない。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。
(13) 第3列(英単語)を見て訳語(=第4列)を想起する。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。
※一度に訳語の想起まで進むのが難しい場合は、意味の想起までの訓練を先に何度か反復するとよい。
できたら第3列最上段余白に日付とタイムを記入する。更新したら追記する。
和英 (14) 第4列(訳語)、第5列(紐付けヒント)と第6列(英単語末尾3文字)を見て英単語(=第3列)を想起する。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。
(15) 第4列(訳語)を見て英単語(=第3列)を想起する。
失敗したらその部分を何度か見直す。1ページ分スラスラできるまでやる。
できたら第4列最上段余白に日付とタイムを記入する。更新したら追記する。

 2つの表をまとめると、次のようになる。

左ページ左ページ外部
crucrunch危機ヒントnchテキスト
全体 (1)      参照
(2)  記入記入  参照



訳語 (3)記入  参照  
(4)参照  想起  
英単語1 (5) 記入参照   
(6)(参照可)参照想起   
英単語2 (7)  参照  記入
(8)  想起  参照
中間段階 (9)参照1参照2口述2口述1  
(10)参照1 口述2口述1 参照2


準備 (11)  参照参照記入 
英和 (12)参照(参照可)参照想起  
(13)  参照想起  
和英 (14)  想起参照参照参照
(15)  想起参照  

 ここまでを初日の段階で一通り片付けたい(もちろん何日かに分けて実施してもよい)。

 翌日以降は「連結」をメインに反復する(成績が悪いときは「中間段階」に戻る)。

 最初は1ページ(=12語)から始め、10ページ(=120語)程度の再生が一気にできるようになるまで積み上げていく。想起スピードの目安は1語1秒。10ページ(=120語)なら120秒、つまり2分とする。
※少し違った方法によるものではあるが、長崎玄弥氏が次のように述べているのが興味深い。どうせなら、このレベルを目標としたいものだ。
「面白いもので、この練習を重ねていると英語の後に日本語が浮かび、日本語の背後に英語が見えてくるようになる。もちろんこれは幻覚のようなものであるが、私が500語、1000語という数の日本語の単語を、スラスラ英語に置きかえていくのを見る人には、あたかも英語のリストを読んでいるとしか思えなくなるのである。」(『驚異のワードパワーアップ術』p.65)

 復習のタイミングとしては、翌日・3日後・1週間後・1ヶ月後を目安とすればよかろう。もっとも秒速学習法は時間がかからないので、漸進的分習法(スイッチフルバック方式)で進めてもよい。少なくとも、復習はマメにやったほうがよい。もちろん復習するたびに日付を記録しておく。


 以上が概略である。実際にやってみると分かるが、それほど複雑なものではない。ノートを作成する手間も無駄にはなっていないと思う。当然のことながら、テキストの音読、CDの反聴・シャドーイング・ディクテーション等を併用することには何の問題もない。むしろ、時間が許す限り積極的に行うべきである。相乗効果があるはずである。

 同じような方法は、英単語以外の暗記物にも使えるであろう。特に、「意味」という媒介項を持たない2項結合型の場合は、もう少し簡単な手順になるはずだ(覚えやすいとは限らないと思うが)。逆に、例文のような複雑な構造を持ったものの暗記に役立てるためには、ヒントの作り方に工夫が必要となろう。例えば、単に頭文字を示すだけではなく、文の構造を同時に示すようにする、といったことだ。例文記憶は私も大いにやりたいと考えているので、そのための効率的な学習方法を近日中に検討してみようと思う。


 今のところ、1日あたりのノルマは決めていないが、最初は少なめ(12語か24語)から始め、徐々に頭を慣らしていくようにしたい。最終的には1日300語くらいこなせるようになれば文句なしだ。

 あとは、実践あるのみ。経過はここで報告することとしたい。

 最後に一言。ネット上でいろいろ探してみると、5万語以上の目標を掲げて頑張っている人が何人か見付かる。それを考えると、たかが英検1級15000語程度を最終目標にするのでは志が低すぎるという気がしてくる。頑張らねば。


posted by 物好鬼 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ボキャビルの方法論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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