(1)非常に驚くべきことは彼が15カ国語を流暢に話せることです。
(2)私を悩ませ(bother)ていることは彼がいつも遅れてくる(keep...ing)ことです。
(3)非常に恐ろしい(→frighten)ことは犯罪(crime)率が年々(year by year)高くなっていることです。
(4)非常にがっかりし(→disappoint)ていることはパーティーが中止になったことです。
(5)非常にがっかりし(→dishearten)ていることはガールフレンドが別の男性と交際し(see)始めたことです。
(6)非常に恥ずかしい(→embarrass)ことは息子が警察に捕まったことです。
(カッコ内の語句は、「語句のヒント」として挙げられているもの)
さて、(1)の英訳を見てみると
(1) What's so amazing is that he can speak fifteen languages fluently.
とある。これはこれでよい(ここのamazingは他動詞の現在分詞ではなく形容詞だから目的語がない、といったことは今は措いておく)。問題は学び方だ。
この単元で習得すべきは What's so xxxxing is that節. という形式の文を作るための規範である。だから、まず前半については、例えば
(a) XXX amazes me.(元となる簡単な文)
(b) XXX is amazing.(ingの形に)
(c) what is amazing(名詞節に)
(d) What is amazing is ...(名詞節を主部に使用)
のように自力で展開できる能力が要求される。また後半についても
(p) He speaks fifteen languages.(元となる簡単な文)
(q) He speaks fifteen languages fluently.(副詞による修飾)
(r) He can speak fifteen languages fluently.(助動詞の使用)
(s) that he........(名詞節に)
(t) ... is that he........(名詞節を主格補語に使用)
のように自力で展開できる能力が要求され、両者の統合として先の英文が出力できることになる。
しかし、実際にこのような具体的な英文を和文から作ろうとすると、「語句のヒント」にあるような知識が前提とされるわけであるから、この課題を首尾良くこなすためには、語句と文法の両方を学ばなくてはならないわけだ。
もちろん、知らない語句を極力減らして例文を作ることは可能であるし、文法ドリルが目的ならそのほうがよいとも言える。そのような教材もある。しかし、「せっかく多くの英文に触れるのだから、どうせなら多様な表現も憶えてもらおう」と考えることも、それはそれで間違ってはいない。ただ、その面での負担が大きくなりすぎると、本来の目的がどこかに吹っ飛んでしまうという危険性には注意する必要があろう。
上のような負担を軽くするためには、上で「元となる簡単な文」として挙げたような例文をまず最初にマスターしてしまうのがよい。そうすれば、後は文法的な課題に集中できるわけだ。また、そのような例文をたくさん憶えるに際しては、テーマや場面につながりを持たせてやるほうが憶えやすいであろう。
結局、次のような段階に分けて学ぶのがよいのではないだろうか。
(1)基本文型を学習。ここまでにごく基本的な語彙とプロソディの基礎学習を済ませる。
(2)具体的なテーマ・場面を想定した例文をシッカリ憶える。
(3)そうやって憶えた例文を素材にして、各種の文法的演算を訓練する。
(4)慣れてきたら自由に組み合わせて多種多様な文を作り出せるようにしていく。
ただ、実際にこの手順で学習するのが困難な場合には、次善の策として、
(1)同上
(2)単元に挙げられた例文を読んで文法構造を解析し、「元となる簡単な文」を抽出して憶える。
(3)その単元でテーマとされている文法的演算を訓練する。
(4)同上
のようにするのがよかろう。
この場合、「元となる簡単な文」を憶えるのが負担になるようなら、語句については少し軽めに記憶するだけにしておいてもよい。理由は次の2つ。
(1)文法的演算の素材となる例文数が少ないので、各例文ごとの利用回数を多くできるから。
(2)それが重要な表現であるならば、学習していくうちに何度も出会うはずだから。