一度に何文字・何ケタまで処理できるかは個人差があるが、心理学者によると、文字数・ケタ数よりも時間のほうが大切であるらしい。制限時間は約2秒なので、その間に言えるかどうかで大きな違いが生じる。同じ文字数・ケタ数でも、スラスラ言える人とそうじゃない人とでは、覚えやすさに違いが出てくるわけだ。
このことはもちろん英語の例文についても言える。
手元の教材から適当な例文を見つけて覚えるとしよう。大事なのは、いきなり暗唱しようとするのではなく、まずはマイペースでよいから何度も音読して、口がスムーズに動くようにすることである。それで2秒以内に読めるようになってから、ソラで反復するのだ。
※文が長すぎる場合は適宜分割して覚えてから合成すればよい。
私の場合は有名なクジラの公式“A whale is no more a fish than a horse is.”を利用した。早口言葉のように言えば何とか2秒以内に収まるので、それができるようになってから何度かソラで言ってみた。そしたら、それまでは苦手意識があって覚えられなかったこの構文が、いとも簡単に覚えられたのだ。実に痛快な経験だった。
こうやって一応覚えたら、クイックリスポンス(課題リストを作って即座に思い出せるようにする)に取り組むことで、ほどなく長期記憶に移行させることができるはずだ。
これは非常にシンプルで、また他の覚え方とも併用できるものなので、記憶方法にあれこれ悩んでいる人は、試してみる価値があるのではないかと思う。いずれにしても、記憶力を向上させようと思ったら、記憶することから逃げていてはいけないのだから。