典型的な使われ方の一つとして
“Only he can do it.”
のようなものがある。この場合、この“only”は“he”を修飾している。そこで“only”は「名詞を修飾する副詞」だと言われることがある。はたしてそうなのか、である。
ここで主語を“a genious”に置き換えると、文全体は
“Only a genious can do it.”
となる。見てのとおり、“only”は“genious”ではなく“a genious”の前に置かれている。
この事実は何を示唆しているのだろうか。専門家でない私にはよく分からないのだが、分からないなりにあれこれ考えた末に思いついたのは、
最初の例で“only”が修飾しているのは
“he”という代名詞それ自体ではない
ということである。
では“only”が修飾しているのは何か? 答えは、
主語としての“he”/“a genious”
である。
話が分かりにくいかもしれないので敷衍する。
上に挙げた“he”や“a genious”は単独で存在しているものではない。あくまでも文中の具体的な位置に置かれているものである。ということは、これらのパーツには主語としての地位(つまり「○○が/は」)が貼り付いているはずである。これは目に見えないものだが、この区別は大切である。そして“only”が修飾しているのは、この「主語としての地位が貼り付いた後の(代)名詞句」であって、裸の(代)名詞句それ自体ではない−−のではないかというのが私の仮説である。
もちろん、目的語、補語、前置詞の目的語などに関しても同じことが言える。“only”は「それぞれの地位が貼り付いた(代)名詞句」を修飾しているのであり、名詞や代名詞を(形容詞が修飾するのと同じ意味合いで)修飾しているのではない。
結局のところ、副詞とは、修飾語句のうち形容詞と呼べないものの総称である、と考えてみてはどうだろうか。(「行政」や「社会学」の定義には控除説と呼ばれるものがあるが、それに似ている気がする。)
……なんてことを考えてみたのだが、そんな学説はないのだろうか。