細かい部分まで検討したわけではないが、著者の主張は至極まっとうなものだと思う。特に「音記」は非常に大切なものだ。ちなみに「使えるセンテンスを音読し、口頭練習し、暗唱し、スピード・スピーキングの練習をすることによって、音声化された形で使えるセンテンスを記憶すること」(『音記』p.42)というのが著者による定義である。
もっとも、これら3冊には「どうすれば応用できるようになるか」は書かれていないようだ。自然にできるようになる、ということなのかもしれない。だとすれば、國弘氏や種田氏に近い考え方ということになる。これはこれで否定するつもりはないが、別項にも書いたように、例文そのものを学ぶときに再措定的学習(既存の知識との間を演算によって接続する)を行い、例文そのものに慣れてきたら、語句の置換、転換そして96型ドリル等を通して応用変化のための演算を訓練していく…というようにすると、ヨリ効果的に学べるのではないかと私は思う。
言うまでもないが、私としてはこれに構造図を併用するかたちで更に効果を高めたいと思っている。しかし、それでも著者の言う「最低でも100回口頭練習しないと、練習したことになりません」(『音記』p.56)は肝に銘じておきたい。でないと、頭でっかちな勉強法に逆戻りしてしまう可能性があるからだ。