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2014年09月27日

文字言語が音声言語習得の邪魔をする

Facebook を見ていたら、英語仲間の一人が非常に興味深い投稿をしていた。以下はそれに対する私のコメント。



○○さんの主張にだいたい賛成ですが、「書き言葉はおまけのようなものです」は言い過ぎでしょう。むしろ、人間は文字言語のおかげで文化・文明を発展させることができたのですから、「おまけ」と呼ぶには重要性が高すぎます。しかし、そこにこそ問題の根源があるのだと私は思います。

現代においても赤ん坊は文字が使えません。そしてそのおかげで何の問題もなく母語(音声言語)を身に付けることができるわけです。

一方、文字が使えるようになった後は、どうしても書かれた情報に頼ってしまいますね。文具や印刷物などが有り余るほど普及していることがそれに拍車を掛けています。計算するのでも、暗算よりも筆算の方が簡単かつ正確ですし、そのための紙がいつでも手元にあります(今では電卓が身近すぎて筆算すらほとんどしなくなりました)。

文字言語には正確性や保存性などのメリットがありますから、高度な社会生活を営むには不可欠です。そのせいか、入学試験もほとんどすべての科目が紙の上で行われていますし、その準備としての日常学習も試験対策も基本的に同じ方法をとっています。そのため大半の日本人(私を含む)は「視覚に頼らずに頭を使う」ということに慣れていません。

外国語学習についても同様で、おそらくは単に他科目の場合と同じようにしているだけなのでしょう。ただし、日本人の場合は漢文学習の影響もかなりあると思います。そんな視覚に依存した英語力でも入試は何とかなるのですから、入試の改善は確かに急務であると言えそうです。

私が3日前に書いた文章も参照してください。
http://dokomade.seesaa.net/article/405965715.html

posted by 物好鬼 at 12:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 学習一般について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月24日

ソラで聞き、ソラで考え、ソラで言う

「学校英語は英文和訳中心だから生徒は話せるようにならない」という説がある。別に間違ってはいないと思うが、ここでは少し違う観点も挙げてみたい。

前提として「英文和訳」の現状を確認しておく必要がある。これは実際には「紙の上で英文を読み、紙の上で和文を書く」というかたちをとっている。つまり、単なる「英文和訳」ではなく「紙上での英文和訳」という特殊性を持った形態なのであり、「口頭での英文和訳」は検討の対象から漏れているのだ。逆工程つまり「和文英訳」についても似た状況がある。

ところで、入試科目には英語以外にも数学、国語(現代文・古文・漢文)、理科(物理・化学・生物・地学)、社会(日本史・世界史・地理・政治経済・倫理)といったものがあるが、これらのうち(英語のリスニングを除いた)全科目に共通していることがある。それは何かというと、「紙の上で問題を読み、紙の上で考え、紙の上で解答を書く」ということだ。

この状況のもとでは、日常学習も受験対策も「紙の上で…」となることは当然のことであり、学校の勉強は紙(視覚)に頼りっぱなしとなる。もちろん、特別な必要性が生じない限り、日常生活や仕事でも同じことをしてしまう。

しかし、その結果として「紙がないと簡単なことしか処理できない」頭になってしまってはいないだろうか。ちょっと試してみればわかることだが、紙に書けばかなり複雑な計算ができる人でも、紙に書けない状況下(つまり暗算)では2ケタ同士の掛け算にすら四苦八苦してしまうはずだ。別に「複雑な計算でも暗算でできるようになるべき」と言っているのではない。「暗算に関しては、2ケタ同士の掛け算すら訓練の機会を逸している」ということが問題なのだ。つまり、ワーキングメモリの訓練について、我々はあまりにも怠けすぎなのだ。

計算の話は措くとして、言語活動においては「ソラで(=視覚に頼らず)考えた意見や耳から入ってきた情報などに対して適切な表現形式をソラで与え、それをソラで表現できる」ことが理想だろう。しかし、現状では「紙の上で考えたことをソラで表現する」ことすらなかなか難しいはずだ。

その主な原因は、そういうことに慣れるための訓練が不足していることにあると考えられる。これは私自身も例外ではない。この点については特にここ最近のディベート学習などで痛感させられているが、その一方で予備校講師や政治家などの言語能力に感心することがたびたびある。

しかし、いかに訓練が大事だと言っても、基礎力に欠ける人がむやみにディベートなどに挑戦したところで玉砕するばかりであろうから、それだけではたいした上達は望めない。しかし、ここにこそ「学習法」や「上達論」の存在意義がある。

さて、英語で話すときに必要とされるものは何かというと、「言いたいことを適切な英語にする能力」は当然として、他に「言うべき内容を考え、決める能力」と「言うべき内容を頭の中に保持しながら(必要があれば修正などもしつつ)口に出していく能力」なども要求されるはずだ。ところが「視覚に頼りながら(たいていは時間をかけて)処理する」タイプの勉強ばかりをしていると、ワーキングメモリやリアルタイムでの反応力といったものが鍛えられないままになる。これでは英語で話すことがスムーズにいかないのも無理はない。

冒頭の問題に戻るなら、日本人が英語を話せるようにならない理由としては「英文和訳中心だから」以外に「普段の学習において視覚に頼りすぎるから」ということも含める必要がある、ということだ。そしてこれは、英語に限らず日本の学校教育全体に広く見られる問題だと私は考えている。

とは言うものの、学校に期待していても変革の実現はいつになるかわからない。幸いなことにこの「ソラで(視覚に頼らず)」は個人でも簡単に訓練できるので、各自でやってみるのが現実的だろう。以下のいくつかの例を挙げてみるので参考にされたい(英語でもトライできるはず)。

 (1) 他人が作った文や文章を暗唱する
  (内容中心にするか具体的表現法まで守るかは目的次第)
 (2) あらかじめ(紙上も可)考えた内容について自己講義する
  (物語的なものや論証などが使いやすく実用的)
 (3) ソラで考える
  (紙を使わない思索)
 (4) ソラで考えながら話す
  (即興スピーチ)
 (5) ソラで聞き、ソラで考え、ソラで応じる
  (ディスカッション、ディベート、ネゴシエーション)

いずれも昔から知られているありふれた作業ではあるが、こういったことを日常的に訓練するだけでも大きな違いを生むはずだ。

英語の基礎学習に絞るなら、例えば次のような課題はどうだろうか。

 (1) 簡単な例文を聞いて理解する(視覚に頼らずに)
 (2) 聞き取った例文をそのまま言ってみる(同上)
  (同時リピート(シャドーイング)ではなく逐次リピート)
 (3) 例文の一部を変えて言ってみる(同上)
  (置換、転換、その他)

最近の私が考えているのは、以上に述べたようなことだ。理論的な学習を深めるのは当然だが、「理論との実践との統一」を標榜する私としては自ら実践してフィードバックを得ることが大切だと考えている。「基礎を侮らず、さりとて変化を恐れず」をモットーに取り組んでいきたい。

※タイトルが五・七・五になっているのはただの偶然である。

posted by 物好鬼 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 学習一般について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月21日

『カラー改訂版 まるおぼえ英単語2600』

10年前に出ていた本の改訂版。初版は記憶にないが、見たところ、作りはなかなかよい。20 Chapters × 22 Units で、見出し語は全2642語。

世の中に英単語集は腐るほどあるが、最近はランク別のものが多く、分野別のものは比較的少ないと思う(各ランクの内部が分野別になっているものは見かけることがあるが)。

内容的なつながりを重視する私が以前から思っていたのは、

 ・全体が分野別になっている
 ・各見出し語にランクが表示されている
 ・音声が付属している

という3つの条件を満たした単語集はないかということ。

この条件を満たすものは、私の手元にあるささやかなコレクション(?)の中では『鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』(音声は別売)くらいしかない。書店でもあまり見かけない気がする。そんなわけもあって、この本を書店で見つけたときは「おっ!」と思い、即買いした。人気女性声優による「読者への応援メッセージ」がダウンロード音声に含まれているというのが少し気にはなったが…。

さて、帰宅して版元のサイトから音声をダウンロードすることにした。サイトの専用ページに行くと、Chapter ごとに1つの zip ファイルをダウンロードするようになっていた。「どうせなら全部まとめてくれればいいのに」と思いつつ全20ファイルをダウンロードし、一つひとつ解凍したところ、1つの zip につき1つの mp3 が現れた。つまり、音声は Unit ではなく Chapter(=22 Units)ごとのカタマリになっているのだ。プレイに要する時間は1ファイルあたり15分以上。これでは反復学習に向かない…。

更に気になるのが「読者への応援メッセージ」だ。和訳部分を人気女性声優が読んでいるのはまだよい(私はあまり歓迎しないが今回のはギリギリセーフというところ)。しかし、彼女たちによる応援メッセージなるものが、萌え萌えの声でところどころ(5 Units ごとらしい)に入っている。それも含めて15分以上が一続きになっているのだ。

版元はこれまでも英語の教材を多数出版しているのに、どうしてこんなことをしたんだろうか。すぐにでも音声を Unit ごとに分割したものをダウンロードできるようにしてほしいと思う。


posted by 物好鬼 at 17:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 個別の教材について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする